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どうやってモチベーションを保っているのか

――そんな状況のなか、どうやってモチベーションを保たれていますか。

赤松 やっぱり、どうしたってモチベーションは下がるんですよ。自分が思い描くプレーができないから。体がうまく動かないので、自分の持ち味である守備や走塁ですらうまくいかないこともあるんです。

 一時期は「野球をやめようかな」とか、「一回チームを離れようかな」と考えたこともあったんですが、チームを離れることによって、僕の姿を見てもらう機会がガクンと減ってしまいますよね。同じような境遇の人やつらい立場の人にとって、自分の存在がちょっとでも支えになればいいと思って、野球を続けているんです。そして野球が好きだから。僕は野球しかできないとも思っているので。だから「いやちょっと待てよ」と思い直して、「まあ、もう一回頑張ろう」と。それの繰り返しですね。

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──がん治療を始める時に、副作用によってプロ野球選手としてどのようなハンデを負うかという点は、医師にも分からなかったのでは。

赤松 そもそも、がんに罹患して復帰したプロ野球選手ってほとんどいないんですよ。前例がないからデータがない。抗がん剤治療の時も「野球選手が抗がん剤治療をするならどうするのがベストか」を、主治医の先生が一緒になって考えてくれました。

5年生存率が高い方の治療法を選んだ

──抗がん剤治療の方法としては、錠剤などの飲み薬だけを1年間続ける方法と、飲み薬と点滴の併用による半年間の治療の2通りの選択肢があって、後者を選ばれたのですよね。

赤松 はい。主治医の先生は、野球について真剣に考えてくれて「(半年間の治療方法だと)手足にしびれが残るから、野球を続けるなら1年間の方がいいんじゃないか」と言ってくれたんですが、半年間の治療の方が他の部位への転移や再発率が低く、5年生存率が高いというデータが出ていたので、そちらを選びました。