沖縄ヤクザの抗争は、戦いの火蓋が切られると、総力戦であらゆる手段で敵を殲滅させようとしてきました。ダンプで突っ込んだり、口径の大きいピストル、カービン銃はもちろんのこと、米軍から手に入れた手榴弾までぶち込んできます。
その間に、学生や主婦までとばっちりを受けることになりますが、本土のヤクザのような「時の氏神」、つまり、喧嘩を収めるために止めに入り、仲裁に立つ存在がいないのです。
警察にも容赦なく弾丸をぶち込みますから、警察も容赦なく戦い、頂上作戦で組長をあげてきます。ほとんどの組員が捕縛されて、シャバには数人の組員しか残っていないということすら起こるのが沖縄なのです。
第六次抗争の顛末をいうと、ほぼ10年後に三代目旭琉会側が合併吸収されるかたちで、沖縄旭琉会が上になって一本化し、富永清会長が沖縄唯一のヤクザ組織「旭琉會」の会長として統率します。
ヤクザの熱い血と死
ヤクザという存在を知らなかった沖縄に、ヤクザが生まれたのは、戦争がきっかけでした。壊滅的な敗戦と米軍による占領統治。そこから立ち上がる力を最初に見せたのが命知らずの男たちで、これがヤクザの原点でした。
二つ名を持つ伝説的な男たちが何人もいます。沖縄ヤクザの始祖、コザ派をひきいた“ターリー(大人)”こと喜舎場朝信、那覇派の首領“スター(輝く星)”又吉世喜。“ミンタミー(大目玉)”新城喜史は、コザ派から分裂独立。人望の源泉もいろいろあり、統率力のあるターリーには信頼があり、スターは空手の強さが無類だった。性格もいろいろ。ミンタミーは社交的で明るくあけっぴろげ、スターは静かに一人でいることを好む人で、二度にわたり襲撃を受け瀕死の目に遭ったが不死身であった。
この個性豊かなキャラクターたちも、抗争の中で消えていきます。スターもミンタミーも抗争相手から銃撃されて死んでいる。スターは犬の散歩をさせているときに、ミンタミーはクラブで飲んでいるときに射殺される。
二代目旭琉会が沖縄ヤクザを統一するが…
第一次抗争はコザ派と那覇派との間に起こり、第二次抗争はコザ派が分裂したミンタミーの山原派と喜屋武盛一の泡瀬派の間で戦われ、泡瀬派が壊滅。第三次抗争はスターの那覇派と普天間派の間で起こり、分派した普天間派が壊滅させられる。
両頭目が襲撃で殺された山原派と那覇派が合体して、沖縄連合旭琉会に一本化すると、処遇に不満を持つ上原勇吉が上原一家を立てて分裂、そこに第四次抗争が勃発する。上原一家は本土の山口組系大平組と手を結び、旭琉会の代が変わった二代目旭琉会との間に第五次抗争を起こす。