暴力団が収入を得るために行う経済活動として知られる“シノギ”。その方法はさまざまだが、かつて、沖縄ヤクザの組長を務めた新垣玄龍氏は、莫大な金がスッと入ってくると本人が語るある方法をとっていた。意外な大口シノギの内容とは……。
新垣氏の著書『任侠 愚狂に死す 闇社会から光の社会へ』(さくら舎)を抜粋。裏社会の実情を紹介する。(全3回の2回目/続きを読む)
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報酬は賭け金の40%
カジノで大金を熔かして捕まった大王製紙の井川意高さんのことは、みなさんご存じでしょう。100億円以上の金を使っている。私はこの件には関係していないけれど、こういう太客(金払いのいい太っ腹な客)はシノギの対象になるのです。しかも莫大な金がスッと入ってくる。
カジノの客をアテンドして賭けさせるだけで、賭け金の40%が入ってくると言ったら、信じられますか。このシノギをジャンケット(仲介業者)といいます。向こうのマフィアとつながっているのですが、一種の代理店です。ヤクザ時代の私の大きなシノギが、こいつだったのです。
全国各地のキャバ嬢を下請けミニ代理店に
韓国には、セブンラックとか、ウォーカーヒルとか、有名なカジノがあります。こういった韓国系のカジノに私は強かった。韓国の友人ができて、その人間がカジノ業界に強かったのです。そこに、相撲取り、会社の会長、プロ野球選手など、金をたっぷり持っていて、カジノで遊びたいVIP連中を連れていくのです。
向こうで賭けて負けた額の40%ぐらいがこちらに入るわけだから、1000万円すったら400万円です。ただ、私が連れていくと怪しい。現役のヤクザですから、ひと目でわかる。
そこで、下請けのミニ代理店を考えました。私の代わりに、「社長、韓国行きたい。カジノ行きたい」とか言って、連れ出す役割です。それが各地のキャバクラの女の子たち。一人一人がミニ代理店となって、うまくいったら10%あげるのです。
カジノに一緒に行って遊びます。まあ、だいたい負ける。やればやるほど必ず負ける。1000万円使ったら、ジャンケットの私に400万円入ってくる。キャバ嬢には10%の約束ですから、100万円あげるのです。このキャバ嬢のミニ代理店を、北はすすきのから、東京は六本木、銀座と、全国津々浦々につくっていました。