財務省の福田淳一事務次官がセクハラ疑惑で辞任した。事実上の更迭である。“最強官庁”と呼ばれた財務省だが、国税庁長官と事務次官が相次いで辞任するという異常事態となった。福田氏の発言を中心に一連の問題を振り返ってみたい。
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福田淳一 財務事務次官
「すいません、おっぱい触っていい?」
『週刊新潮』4月26日号
福田淳一事務次官のセクハラ疑惑が報じられたのは4月12日発売の『週刊新潮』だった。記事では「胸触っていい?」「手縛っていい?」など、飲食店で一対一だった女性記者に対する福田氏のセクハラ発言が逐一報じられていた。
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福田淳一 財務事務次官
「時には女性が接客をしているお店に行き、お店の女性と言葉遊びを楽しむようなことはある」
産経ニュース 4月16日
福田淳一 財務事務次官
「自分の声は自分の体を通して聞くので、これが自分の声なのかどうかはよく分からない」
BuzzFeed NEWS 4月18日
ところが事態は意外な展開を見せる。16日、財務省が福田氏のコメントを発表。「相手が不快に感じるようなセクシュアル・ハラスメントに該当する発言をしたという認識はない」とセクハラ疑惑を完全否定してみせたのだ。
セクハラや労働問題に明るい板倉由実弁護士は「福田さんの認識は関係ありません。女性が不愉快に思う発言をすること自体が問題なのです」と断言(『週刊新潮』4月26日号)。
しかし、福田氏は「週刊誌報道は事実と異なるものであり、私への名誉毀損に当たることから、現在、株式会社新潮社を提訴すべく、準備を進めている」とし、さらに財務省は「福田事務次官との間で週刊誌報道に示されたようなやりとりをした女性記者の方がいらっしゃれば、調査への協力をお願いしたい」とセクハラの被害に遭った女性からの申告を求めた(産経ニュース 4月16日)。
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麻生太郎 副総理兼財務相
「相手(被害を受けた女性記者)の声が出てこなければ、どうしようもない」産経ニュース 4月17日
「こちら側も言われている人の立場も考えないと。福田の人権はなしってわけですか」
テレ朝News 4月17日
17日、財務省トップの麻生氏は記者会見で、女性記者が名乗り出ない限り、セクハラの事実は証明できないとの認識を示した。福田氏をかばい、財務省の異例の要求を認めた形だ。