「当初は性別不明だったが、被害者と接点のある女に絞り込んで捜査を進めた。念頭にあったのが、犯行を手助けした協力者の存在だった」(捜査関係者)
猟奇的な事件は、単独犯ではなかった。親子3人による一家総出の犯行だったのである。
犯人と被害者を結ぶ2つの“点と線”
7月24日、北海道警は、職業不詳の瑠奈、その父親で精神科医の修の2人を、死体損壊、死体領得、死体遺棄の容疑で逮捕に踏み切った。そして翌25日、祖父の言葉通り、母親の浩子も、同じ容疑で逮捕される。
「父娘の逮捕の日に行われた家宅捜索では、一家の住む自宅から、被害者の頭部が見つかった」(同前)
田村家と被害者――、2つの点を結ぶ線は、どのような軌跡を描くのか。
被害者は浴室でうずくまるように倒れていた
舞台となったのは、札幌市にある北海道一の繁華街ススキノ。Aさんには“女装家のトモちゃん”という別の顔があった。事件前日は、女性ファッションに身を包み、札幌市で4年ぶりに開催されたディスコイベントに1人で参加。
「イベントでは、宇宙服のような銀色のコスプレ衣装に着替え、お立ち台で踊ったり、他のお客さんたちと記念撮影をして楽しんでいた」(参加客)
このイベントが終了したのは午後10時。その後、Aさんが待ち合わせた謎の人物こそが瑠奈だった。すでに面識のあった2人は近くにあるラブホテルの202号室に入室する。
「被害者は、浴室でうずくまるようにして倒れていた。入室してすぐ、無防備な状態で襲われたとみられる。死因は出血性ショック。刺殺後に頭部が切断され、浴室の血は綺麗に洗い流されていた」(前出・捜査関係者)