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 わがままは私の性分ですから。それと育ち方ね。うちは親もわがままで、わがままが悪いものじゃないというふうに育っている。だからこんなのができちゃったわけね。育った家庭が不良の集まりでしたから。

 佐藤さんの父は、作家の佐藤紅緑。母は女優だったシナ。兄は作詞家のサトウハチロー。佐藤さんは佐藤家3代を小説『血脈』に著し、2000年に菊池寛賞を受賞した。

 昔なら、『女大学』がありました。そういうものを守らなきゃいけないという家庭に育った人は、やっぱりちゃんとしたお方ですよ。ただ私はお友達にはなれない(笑)。

 私みたいなのは世間狭く生きなきゃならないですよ。会合とか集まりとか出たことがない。退屈なんです、常識ってやつが。でも今は戦争に負けて時代が変わって、古い戒めが力を失って。女の人は生きよくなりましたね。
 

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幼少期の佐藤愛子さん(下段中央)と父・佐藤紅緑さん(上段) ©︎文藝春秋

私の子どもに生まれてきた運命だからしょうがない

 時代が変わったといえば、介護制度もそうだろう。今どきの「会合とか集まり」には、デイサービスやショートステイなどなども。

 うちの者は私に、そういうところに行ってほしいんです。家にいられるとうるさいから。でも、それはもう、全然だめですね。

 わがままが通らないから嫌なのでなく、私なんかがそういうところへ行ったら向こうが迷惑なんです。諦めて(わがままを)我慢してくれるから、気の毒だし迷惑だろうと思うわけです。そういうことを理解する力は持っている。だから家で頑張っているから、うちの者が迷惑している。それはもう、私の子どもに生まれてきた運命だからしょうがない。

愛子さん77歳のときに桃子さんと撮影した「コギャル」の年賀状写真

孤独と折り合うことはできないから、踏ん張って受け止めている

 佐藤さんは、娘の響子さん夫妻と孫の桃子さんとの二世帯住宅で暮らす。2階に3人が住み、1階が佐藤さん。怖いとか寂しいとかはないですか、と尋ねてみた。