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直木賞作家・荻原浩の“鬼の涙腺”がゆるんだ「いま観るべき映画」 英国青年はナチスから子どもたちを救おうと奔走するが…

映画『ONE LIFE 奇跡が繫いだ6000の命』

2024/06/25

source : 週刊文春CINEMA 2024夏号

genre : エンタメ, 映画

note

考えなくてはと思わされた映画

 感動して涙ぐんで、ああよかった、はい、次の映画、ではなく、考えなくてはと思わされた映画だ。なぜ戦争や迫害はなくならないのか。自分にできることがあるのか──。

「我々にできるのは、まず知ること」なんて言葉に安住していてはなにも変わらない気がする。でも、やっぱり、知らないより、考えないより、ましだと信じて、目を開いて耳を澄まして、日々の世過ぎの合間に「ハテナ」を問い続けようと思う。声をあげる準備ぐらいはしておこうと思う。

© WILLOW ROAD FILMS LIMITED, BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2023

『ONE LIFE  奇跡が繫いだ6000の命』
INTRODUCTION
『シンドラーのリスト』で描かれたオスカー・シンドラーのように、ナチスからいくつもの命を救った人物が英国にもいた。彼の名はニコラス・ウィントン。ごく普通の若者が、なぜ、どうやって、669人もの子どもたちを救出したのか。
 ニコラスの命をかけた活動と子どもたちとの50年後の再会を、ニコラスの娘バーバラの著書『If it's Not Impossible...』を原作として映画化。老いたニコラスに名優アンソニー・ホプキンスが扮し、若き日のニコラスをジョニー・フリンが演じる。

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STORY
 第2次世界大戦直前の1938年。ナチスから逃れてきたユダヤ人難民がプラハで悲惨な生活を送っているのを見たニコラス・ウィントンは、子どもたちをイギリスに避難させるべく里親探しと資金集めに奔走。ナチスの侵攻が迫るなか次々と子どもたちを列車に乗せるが、遂に開戦の日を迎える──。
 それから50年後もなお、救出できなかった子どものことを忘れられず、自分を責め続けていたニコラスは、BBCのTV番組「ザッツ・ライフ!」への出演を打診される。収録でニコラスを待っていたのは、胸を締め付ける再会と思いもよらない未来だった。

STAFF & CAST
監督:ジェームズ・ホーズ/脚本:ルシンダ・コクソン、ニック・ドレイク/出演:アンソニー・ホプキンス、ジョニー・フリン、レナ・オリン、アレックス・シャープ、ジョナサン・プライス、ヘレナ・ボナム゠カーター/2024年/イギリス/109分/配給:キノフィルムズ

週刊文春CINEMA 2024夏号 (文春ムック)

週刊文春CINEMA 2024夏号 (文春ムック)

週刊文春

文藝春秋

2024年6月5日 発売

直木賞作家・荻原浩の“鬼の涙腺”がゆるんだ「いま観るべき映画」 英国青年はナチスから子どもたちを救おうと奔走するが…

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