〈あらすじ〉
1945年、ポーランド。アウシュビッツ強制収容所と壁1枚で隣接する瀟洒な邸宅で、ドイツ人のヘス一家が裕福な生活を送っていた。壁の向こう側では昼夜を問わず不穏な音が鳴り響き、煙が立ち上っている。
父のルドルフ(クリスティアン・フリーデル)は、所長を務める収容所へ毎朝馬で出勤し、休日は妻のヘートヴィヒ(ザンドラ・ヒュラー)や5人の子供たちと、湖畔でのピクニックを満喫する。長男はナチスの少年兵だ。美しい庭と家を愛する妻は、夫の昇格に伴うドイツ本部への転居を告げられ、頑なに拒絶する。
〈解説〉
マーティン・エイミスの同名小説を、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』のジョナサン・グレイザー監督が実写化。ある家族の日常の描写からジェノサイドを浮かび上がらせる。第96回アカデミー賞で国際長編映画賞&音響賞受賞。105分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★★★ナチス・ドイツ物だが、今までにない角度での物語設定。収容所と壁を隔てた天国と地獄。不穏なサウンド。黒い犬。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆「凡庸な悪」の根深さに暗然とする。岸辺の押し問答や階段の嘔吐が、「見せないことで見せる」手法を際立たせている。
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斎藤綾子(作家)
★★★★★描く恐怖は承知と演出の面白さを感心して見ていたら、ラストに他人事にしている己に気づかされ羞恥。関心をもてと。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆無関心の罪を炙り出す建築物の中で人間の病理に冷たいメスを入れる。吐き気がするほど完璧な設計に戦慄。音響も強烈。
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洞口依子(女優)
★★★★☆非人間性の概念を冷静に覗く巧妙で緻密な仕掛けが映像に収まる怖さ。『ハンナ・アーレント』とセットで。主演女優に星。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
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5月24日(金)より新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
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