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「窓から机が落ちてる!」教室の窓ガラスは割れ、生徒が他校とケンカ…東大合格者数トップクラスの進学校「西大和学園」の“荒れていた過去”

『なぜ田舎の無名高校が東大、京大合格トップ進学校になれたのか 西大和学園の躍進』より #1

2024/06/28

genre : ライフ, 教育

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「殴られたんか? 口から血い出てるやないか」

「先生、人数がちゃいますもん。あいつら大勢で卑怯やねん」

「なんや、やられっぱなしか? 尻尾巻いて帰ってくんな!」

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教室の窓ガラスを割った犯人は特定できず

 数日後、学校の理事長室。

「そうですか。机と、駅でのケンカですか」

 私は校長からの報告を受けていました。

 開校から数カ月、こんな報告には慣れっこになり、もう驚くこともありません。

「机を投げたのは、先週のトイレットペーパーの子と一緒ですか?」

「ああ、いましたな。トイレットペーパーを廊下でまき散らしていた子らが。あれとはまた別の生徒ですね」

「ほんなら、以前、教室の窓ガラスを割った子かな?」

「ああ、そうです、そうです。でも、窓ガラスを割ったのはほかにもいますから。それと最近、通学路の工事をしている業者から苦情が来まして。なんでも塗りたてのコンクリートに足あとをつけた奴がいると。たぶん、うちの生徒のイタズラに違いないから、犯人を突き止めてくれと言うてます」

「誰の仕業か分かったんかな?」

「いえ、それがまだ。ケンカなら、おおよその見当はつくんですがね」

「……そうですか」

 教員たちの前では平静を装っていたものの、こうした報告を聞くたびに、私は心のなかでいつもつぶやいていました。

「こんなはずではなかった……」

 40歳で「地元・奈良県に高校をつくろう」と思い立ち、3年間、準備を進めてきたなかで、私の頭のなかでは理想の高校がはっきりと形づくられていました。その理想とは、一言で表すなら「日本一の高校」です。

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