親族や公的機関を騙り、現金やキャッシュカードをだまし取ったり、ATMから犯人の口座に送金させたりする詐欺——「特殊詐欺」の被害は近年、増えている。
2021年5月に窃盗(後に詐欺)の容疑で逮捕され、その後の裁判で懲役5年の実刑が確定した20代男性が収監前に「週刊文春」の取材に応じ、自らの罪を語ると同時に、特殊詐欺の手口について詳しく明かした。
今年4月の特殊詐欺の認知件数は5605件
取材に応じたのは、大久保優樹(仮名・20代)さん。6月20日に東北地方にある刑務所に収監された。
統計によれば今年4月の特殊詐欺の認知件数は5605件、被害額は131.4億円にのぼった。前年比対で認知件数自体は減少しているものの、被害額は増加しており、いまなお多くの人々が特殊詐欺の被害にあっているといえる。
「逮捕、公判を通じ、絶対に許されないことをしてしまったんだと今では強く反省しています。その罪滅ぼしになるかはわかりません。ですが、もう二度と被害者が出ることのないよう、私が知る限りの詐欺の手口についてお話ししたいと思いました」
そう語る大久保さんだが、かつては特殊詐欺に手を染めてきた。
東京都内に住む高齢男性から現金2000万円をだまし取る。それが大久保さんの最初の犯行だった。