「警察24時」ものの一線を超えた
こうした「警察24時」ものの番組ではパトロール隊に同行したり、交番の業務を撮影していると違反行為を働く「困った人物」が見つかり警察がその場で逮捕したり補導や摘発するという映像が大半のシーンを占める。警ら中の警察官たちの様子を密着取材しているうちに偶然撮影できたリアルな映像などである。テレビ東京のこの番組でもそうしたシーンが放送されていた。
しかし、今回の「激録・警察密着24時!!」最終盤で登場したコーナーはこうした「警察24時」ものの一線を超えていた。通常ならば撮影できないはずの、誰が首謀者なのか、どういう容疑で逮捕するのかといった捜査情報の秘密に関するシーンが撮影されていたからだ。
筆者はこの場面を見た時に「ここまで撮影してもいいものなのか? 警察は撮影を許すのか?」と強い違和感を覚えた。
番組では愛知県蟹江警察署の捜査員がゲームセンターの景品になっていた「鬼滅の刃」のコピー品らしき商品を回収して持ち帰ったダンボール箱から一つひとつ取り出して「こりゃあすごい」「(「鬼滅の刃」の)キャラクターのまんまだわ」「(ゲームセンターの)店主は本物だと思っちゃうよね」「これはちょっと悪質でしょう」などと話す映像が出てくる。
テレビ東京の説明によると、これらの場面は実際に捜査員が回収した商品をリアルタイムで確認している場面ではなく、実は事後に、警察官に「再現」してもらったものだという。つまりテレビの撮影のために後から警察官たちに“演じてもらった”シーンなのだ。
蟹江署には愛知県警本部からこうした著作権関連のスペシャリストとして生活経済課の石川完孝警部が派遣されて、この捜査では陣頭指揮を執っている。
「法律に照らしても『鬼滅の刃』は爆発的な人気があって、子どもたちも対象にしている商品がグレーゾーンで流通しているようでは大きな問題になる」(石川警部)
彼と蟹江警察署長だけがこの捜査に登場する中で顔にボカシがない警察関係者だ。
捜査本部では回収した商品が許諾の取れているものなのかを「鬼滅の刃」の権利者に確認してもらった結果を他の捜査員が石川警部に報告するという場面も出てくる。