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「彼の実家は品川で代々続く理髪店。2歳上の兄が父の理髪店を継いでいます。中学の頃は皆から“ごんち”とか“ごっちん”と呼ばれていて、いつもニコニコ顔で誰に対しても優しいやつでしたよ」

 別の同級生はこう言う。

「学生の頃はあまり目立たない存在だったけど、成人式ではすごく目立っていた。みんながスーツ姿の中、彼だけ紋付き袴を着てきたんです。その日は大雪だったので、袴がぐちゃぐちゃに汚れて濡れてしまっていたのをよく覚えています」

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冬美さんが生前に書いていたエッセイ

施設内を徘徊する認知症のおじいさんを見つけた後藤容疑者は…

 成人式後に開かれた同窓会で、後藤は髪の毛を緑色に染め、「美容師をやっている」と周囲に話していたが、2012年頃から品川区内の特別養護老人ホームで働くようになる。

 当時を知る元同僚が回想する。

「後藤さんは、職員はもちろんのこと、入居者のお年寄りからも凄く信頼されていました。人の悪口は絶対に言わないし、何か困ったことがあるとすぐにフォローしてくれる優しい人でした」

 なかでも特に記憶に残っているのは、夜勤の際のある出来事だったという。

「夜中に眠れず、施設内を徘徊してしまう認知症のおじいさんがいたんです。他の職員さんは見つけると『早く寝て下さい』と頭ごなしに言って部屋に連れて行くんですが、後藤さんだけは違いました」(同前)

 一体どんな行動をとったのか。元同僚が続ける。