「よく可愛がられているなという印象を持っていました。“究極の腹筋”という名前で石丸くんが両足を両脇に抱えられ、腹筋させられるということをやられていました」
「裁判長から色々言われましたので、これくらいに」
続いて、奥田からの反対尋問に移った。
他人事のような顔をしていた奥田が、立ち上がってようやく柳を直視した。
「色々私の暴力的なことを言われていますけど、それはさておいて……。代理人から控訴人(石丸)についてどういう人物になっているかは聞かされましたか」
意図のはっきりしない問いかけに、柳は困惑の色を浮かべて返した。
「ごめんなさい、よくわからないのでもう一度わかりやすくお願いします」
それに対し奥田は、質問ではなく、石丸の人格や家族関係の批判を滔々と語りだした。
裁判長が制止する。「大きな声を出さないでください」「控訴人の人格がこの事件にどう関係するんですか。彼に聞くことではないと思います」。
奥田は「どうして関係ないのか私にはわからない」と開き直る。
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本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(秋山千佳氏の連載「ルポ男児の性被害」第8回・前編「《異例の逆転勝訴》性被害から20年、クラスメートの新証言がわいせつ男性教諭の数々の“嘘”を暴いた」)。
■連載 秋山千佳「ルポ男児の性被害」
第1回・前編 「成長はどうなっているかな」小学校担任教師による継続的わいせつ行為《被害男性が実名告発》
第1回・後編 《わいせつ被害者が実名・顔出し告発》小学校教師は否認も、クラスメートが重要証言「明らかな嘘です」
第2回・前編 中学担任教師からの性暴力 被害者実名・顔出し告発《職員室で涙の訴えも全員無視》
第2回・後編 《実名告発第2弾》中学担任教師から性暴力、34年後の勝訴とその後「ジャニー氏報道に自分を重ねる」
第3回・前編 《実名告発》ジャニー喜多川氏から受けた継続的な性暴力「同世代のJr.は“通過儀礼”と…」
第3回・後編 《抑うつ、性依存、自殺願望も》ジャニー喜多川氏による性暴力 トラウマの現実を元Jr.が実名告発
第4回・前編 「なぜ今さら言い出すのか」性被害を訴えた元ジャニーズJr.二本樹顕理さん 誹謗中傷に答える
第4回・後編 「ジャニーさんが合鍵を?」元Jr.二本樹顕理さんを襲った卑劣な“フェイクニュース”
第5回・前編 「性暴力がなければ障害者にならなかった」41歳男性が告発 小学3年の夏休みに近所の公衆トイレで…
第5回・後編 《母は髪がどんどん抜け、妹からは「キモい」と…》性被害後の家族の“拒否反応”の真実 41歳男性が告白
第6回・前編 目の前で弟に性虐待を行う父親 「ほら見ろよ」横で母親は笑っていた《姉が覚悟の実名告発》
第6回・後編 「絶対に外で言うなよ」父親の日常的暴力と性虐待の末に29歳で弟は自殺した《姉が実名告発》
第7回・前編 NHK朝ドラ主演女優・藤田三保子氏が“性虐待の元凶”を実名告発「よく死ななかったと思うほどの地獄」
第7回・後編 「昔、兄にいたずらされたことが」塚原たえさんの叔母、藤田三保子氏が“虐待の連鎖”を実名告発
第8回・前編「《異例の逆転勝訴》性被害から20年、クラスメートの新証言がわいせつ男性教諭の数々の“嘘”を暴いた」
第8回・後編「《賠償金約4000万円》法廷でも被害者の人格を攻撃 わいせつ男性教諭に画期的判決が下った“3つの理由”」
《異例の逆転勝訴》性被害から20年、クラスメートの新証言がわいせつ男性教諭の数々の“嘘”を暴いた