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骨折を治し、痛みを和らげる…「猫のゴロゴロ」と鳴く行為に秘められた「驚きのパワー」

『にゃんこパワー』より #2

note

「ゴロゴロゴロゴロ……」

 猫がリラックスしたときに喉から鳴らすこの音に秘められた驚きのパワーとは? 1冊まるごと猫について書いた、にゃんこ本の決定版『にゃんこパワー:科学が教えてくれる猫の癒しの秘密』(新潮社)より一部抜粋してお届けします。(全2回の2回目/前編を読む)

猫のゴロゴロのすごいパワーとは? 写真はイメージ ©getty

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猫の「ゴロゴロ」は本当にすごい!

 犬は吠えたり遠吠えをしたりしますが、猫はニャーと鳴き、ゴロゴロのどを鳴らします。猫がのどを鳴らす音は何世紀にもわたって人間を魅了してきたけれど、なぜのどを鳴らすのかには諸説あります。楽しい時、出産時、おっぱいをあげる時、そして怖い時や怒っている時にものどを鳴らすのです。

 猫はのどを鳴らす振動で自分を落ち着かせているそうです。研究でも、“猫の中のエンジン”こそが猫のスーパーパワーだというのが確認されています。あのゴロゴロという音には想像を超えるような力がありました。

 猫科の動物すべてがのどを鳴らすわけではありません。ライオンやトラなど、唸ることができる動物は舌の構造がちがうので、のどを鳴らせないのです。

 猫の精神状態によって音の強さが変わるのでしょうか。なぜ決まった人のそばでのどを鳴らすのでしょうか。猫のさまざまなエネルギーを理解することで、人間も自分の感情を解釈できるようになるかもしれません。

 一連の研究により、周波数そのものに手がかりがあることがわかりました。猫だけでなく、猫を膝の上にのせていると飼い主まで気分が良くなるのです。

 レスリー・A・ライオンズはミズーリ大学の猫遺伝学の教授で、のどを鳴らすことが猫の生存メカニズムに直接関係していることを突き止めました。

 さまざまな種類の振動でのどを鳴らすことで、エネルギー消費を調節したり、心身のバランスを整えたりしているのです。それが猫の回復力と抵抗力の源なのです。

 ゴロゴロという音の周波数は脳で制御されています。横隔膜と喉頭を組み合わせて振動させ、リズムは呼吸に従います。息を吸う時にも吐く時にも振動が起き、周波数は25~150ヘルツ。ニャーニャー鳴く時のように声帯を揺らさず、閉じ開きするだけです。

 最新の研究でも、のどを鳴らす音に治癒の効果があることが確認されています。ケガをしたり体調が悪くなったりすると、猫はゴロゴロとのどを鳴らして自分を回復させます。骨折しても犬よりはるかに早く治るし、とんでもなく高いところから落ちた猫が大ケガをしても生き延びることがよくあります。また、他の哺乳類に比べて筋肉や靱帯を冒す病気が少なく、骨格の病気にかかることもほとんどありません。

 賢い動物だと思いませんか?