ドラマ『春になったら』(2024年)で、木梨憲武演じる末期がんの父を支える娘を演じた奈緒。死を覚悟した父を時には叱咤し、時には優しく受け止める奈緒の演技が、視聴者に大きな感動を与えたのは記憶に新しい。

 今夏には男女の性の格差をテーマにした映画『先生の白い嘘』で、親友の婚約者(風間俊介)にレイプされる主人公を演じ、秋に公開されるベストセラー小説の映画化『傲慢と善良』でも主演を務める。

2020年第33回東京国際映画祭での奈緒 ©AFLO

 29歳にしてトップ女優へと歩みを進める奈緒だが、ここまでの歩みは順風満帆ばかりではなかった。

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通学路のスカウトから「福岡で一番下手なリポーター」時代へ

 福岡県福岡市生まれ。高校の通学路でスカウトされて、モデル事務所に所属。学生時代は引っ込み思案で目立つタイプではなかったが、芸能の仕事をしたいと思っていた。

「ただ『早く働きたい』と思っていたので、すごく興味はありました。この仕事って、何歳でも関係ないじゃないですか」(AdverTimes. 2020年4月24日)

「早く働きたい」と思っていたのには理由がある。生後7カ月のときに父が亡くなり、母が女手一つできょうだいを育ててくれていたからだ。最初の記憶は父の葬儀のときのものだった(『徹子の部屋』2023年9月28日)。

プロ野球のソフトバンク対阪神、縁のある福岡での始球式に登場した奈緒

 反対する母を説得して芸能活動をスタート。モデルやリポーターを務め、ローカル番組『ももち浜ストア プラス』では食レポなどをする自分のコーナーを持っていた。奈緒は自身のことを「福岡で一番下手なリポーター」と振り返っている。