米大リーグ、ドジャースの山本由伸投手(25)が6月15日に先発したロイヤルズ戦で右上腕に異変を訴え、わずか2回で降板を余儀なくされた。デーブ・ロバーツ監督は翌日に「右肩腱板の損傷」と明かし、負傷者リスト(IL)に入れる措置を取った。前半戦での復帰は絶望的で、予断を許さない症状だ。
日米のメディアは故障の伏線として、その直前に登板したヤンキース戦を挙げている。山本は渡米後のベストピッチと言える内容で、強力打線を7回2安打無失点に抑えたのだが、その反動として肩を故障したというのだ。
山本はなぜ身を削ってまでヤンキースを抑えなければならなかったのか――。
東西の名門球団同士の対戦で、ドジャースにとっては敵地でのヤンキース戦は8年ぶりだった。まさに特別な一戦で、アーロン・ジャッジ、ジャンカルロ・スタントン両外野手らメジャー屈指の強力打線と対峙した。これまでのどの試合よりも力が入りやすいシチュエーションであったことには違いない。しかし、これら以外にも山本が力投せざるを得ない事情があったようだ。
「我々が想像する以上に状態は深刻なのかもしれません」
山本は早期降板したロイヤルズ戦で、当日のブルペンから異変が起きていた。
「試合前のブルペンでの投球練習からしきりに右腕を気にしていました。実際にマウンドに上がっても球速が上がってこない。その前のヤンキース戦で痛めたとみて間違いないでしょう。ロイヤルズ戦までは基本だった中5日を、中7日に間隔を空けても違和感は消えなかったようで、我々が想像する以上に状態は深刻なのかもしれません」(NHKの大リーグ解説陣の1人)
件のヤンキース戦では、フォーシームがそれまでの自己最速だった156.4キロから158.4キロにアップしていた。ヤンキースを力でねじ伏せた圧巻の106球は、投手史上最高の12年総額3億2500万ドル(約470億円)で契約した右腕の面目躍如だった。
「山本がメジャーに渡ってから投げたどの試合よりも出力を上げていました。その高出力であまり投げていなかったスライダーを多く投げたのですから……。オリックス入団当初から山本のフォームは肘をしならせない『アーム投げ』と言われ、肩に負担が掛かるので矯正を求める指導者もいました。そのままアメリカに行って、滑る公式球、ピッチクロック、硬いマウンドといった慣れない環境に加え、ヤンキースが相手だったことがアクシデントを招いたとみます」(前出のNHK解説者)
強敵に全てを出し切ろうとしたことで、肩は限界を超えたということか。