「カーブにくると自然と曲がる」貨物列車の知られざる輸送はまだまだあって…
贈呈式のあとは、かつて飯田橋駅近くにあった貨物駅「飯田町駅」の跡地にある、JR貨物が運営するオフィスビル「アイガーデンテラス」のイタリアンレストラン(ピッツエリア ピアット)での懇親会となった。
ここには、真貝康一会長や新旧広報室のみなさん、さらに取材当時、現場にいて取材に協力していただいた社員の方も駆けつけてくださった。
懇親の席では、「こんどはここを見てください」、「こんなに面白い路線もありますよ」と、夢のような企画をいくつもいただいた。
中でも、隅田川機関区区長の根来健人さんからは、こんな提案が。
「レールの輸送を見ませんか。150メートルある鉄道のレールが貨物列車で運ばれるようすは、信じられないくらい面白いですよ。何しろ、カーブにくるとレールが自然と曲がって、カーブを過ぎると元に戻るのですから」
鉄のレールが自然に曲がるだと?
普通は25メートルで作られる鉄道のレールだが、近年は騒音防止などのため、150メートルの長尺レールも作られている。作っているのは、あの“日本製鉄九州製鉄所”。日本でいちばん古い製鉄所だ。ここで作られたレールは工場から専用の貨車を使い、貨物列車で日本各地へと運ばれる。
「ちょうど本にも出てきた新金線を通ってレールが運ばれることがありますので、その時はぜひどうぞ」
新金線といえば、長田さんが住宅街をさまよい歩いた、あの路線。あんなところを150メートルものレールが通るのか。
「絶対行きます!」
長田さんは間髪を入れずそう答えていた。
かくして、『貨物列車で行こう!』の取材は、線路があるかぎり、どこまでも続くことになった。
「もう、こうなったら次回作は『貨物列車、全部乗った!』でいいんじゃないですか」
たっぷりのイタリアワインで出来上がった、じつに気持ちの良い夜であった。
(構成・担当編集者)