いまから4年半前、初めて貨物列車の添乗記を書いたとき、

「果たしてこれを何人の人が読んでくれるのだろう……」

 と不安の中で原稿を出した。

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 しかし、予想に反して多くの読者が目に留めてくれて、好意的な反響を寄せてくれた。

 その声に後押しされて、その後も断続的に貨物列車に乗ったり、貨物駅を訪ねたりしてルポを書いてきた。そしてこのたび、これまでの記事に書下ろしのルポを加えた本『貨物列車で行こう!』が文藝春秋から発売されることになった。

 これはめでたい。大いにめでたい。

ふたたび貨物列車に乗る!

たまには目先を変えて「連絡会社線」の列車に乗ってみる

 貨物列車をテーマにしたマニア向けの本はこれまでにもあったが、「貨物列車の紀行文」をまとめた本はおそらく初めてだと思う。そんなものを書けるとも思っていなかっただけに、それが本になるというのだからありがたい。

 そこで告知記事を書くことになったのだが、本の紹介だけでは面白くない。どうせなら、この本の核である「貨物列車添乗取材」を新たに敢行し、その記事の末尾にそっと慎ましやかに新刊の宣伝をしようと考えた(と言いながら冒頭で堂々と宣伝しているのだが)。

貨物列車で行こう!』(文藝春秋)

 そこでいつものように日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)広報室サブリーダーの稲垣篤史さんに相談すると、こんな答えが返ってきた。

「これまでは当社の運行する列車の添乗取材でしたね。どうでしょう、たまには目先を変えて連絡会社線の列車に乗ってみるというのは」

 なるほど、それは確かに目先が変わるぞ。

 現在JR貨物グループには、9つの臨海鉄道会社が存在し、地域輸送に尽力している。

 そのエリアの荷主から連絡会社線の貨物列車によって集められた貨物をJR貨物の列車が全国に輸送する、逆に全国から運ばれてきた貨物を連絡会社線の列車が地域内の送り先に届ける――連絡運輸という貨物鉄道の連携システムが出来上がっているのだ。これまではその「軸」の部分を取材していたわけだが、今回は「先端」を見てみようという魂胆である。

 そこでJR貨物広報室に取材協力先の紹介をお願いすると、数日後、千葉県にある京葉臨海鉄道の協力が得られた、との連絡が届いたのだ。