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取扱品目は、石油から中古ピアノまで多種多様

 臨海本線は蘇我駅から京葉久保田駅まで21.6kmの全線が単線非電化で、蘇我と京葉久保田を除く途中駅は8駅。また途中1本の支線と3本の会社専用線(特定の企業の敷地構内につながる引き込み線)が分岐し、そこに出入りする石油専用列車なども多い。

 2022年度の同社の取扱品目を見ると、「発送」では石油類が84.2%を占め、コンテナは15.6%と圧倒的に石油優位。一方、「到着」で見ると、返送されてきた空のタンク車などの「甲種車両」が45.6%なのに対してコンテナが54.4%と比率が逆転している。コンテナの中身は化学薬品、工業薬品、米、野菜、肥料など多種多様。珍しいところでは「中古ピアノ」といった品目もある。

千葉貨物駅の駅本屋から「南方」を臨む

 しかし、扱いトン数でみると「発送」の163万2000トンに対して到着は28万7000トンと1桁違っており、同社の現況が「発送主体」であることが見て取れる。

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 そんな説明を受けた会議室に、珍しいものが展示されていた。「カーリターダー」だ。

展示されていたカーリターダー

 3年前まで千葉貨物駅では、貨車の入換作業で「突放」という操車法が行われていた。これは貨車を後ろから機関車で押して走り、勢いの付いたところで後ろの機関車が急ブレーキをかけて貨車だけを惰性で走らせ、それぞれ指定の線路に進入させる操車法。惰性で進む貨車は係員が手ブレーキで速度を調整するのだが、この作業には危険を伴う。そこで、レールに減速装置を仕掛けて、その上を貨車が通ると自動的に速度が落ちるようにするのがカーリターダーだ。

 カーリターダーには車輪を挟んで減速させるものと、突起物(シリンダー)を踏ませることで減速させるタイプがあるが、千葉貨物駅で導入されていたのは後者のタイプ。

「最後は交換部品が手に入らなくなったのでやめたのですが、そもそも突放は高度な技術を必要とする半面、危険だし貨車も傷む。3年前の時点で突放をやっていたのは国内で当駅だけでした」(石井氏)

 いまでも海外では見られる操車法だが、「千葉で見てみたかった」という思いは募る。