ヘルメットと反射帯を装着して構内へ
駅本屋を出て構内を見学する。
ヘルメットと反射帯を借りて装着する。「いよいよ添乗だ」という気分が盛り上がる。
ふと見ると稲垣さんはJR貨物のカッコイイ制服を着こんでいる。
「現場に出るときは、制服を着る方が気が引き締まるんですよ」
と照れ笑いを浮かべるが、羨ましい。文藝春秋も現場取材用に作業服を作ったらどうだろう。
先頭を歩く石井さんはというと、黄色いヘルメットに金色の線が3本走っている。これもカッコイイ。
「去年からヘルメットで職制が分かるようにしたんです。駅勤務は赤線、車両区は青線、役員は金線……と」
文藝春秋も役職ごとにヘルメットに線を引いたらどうだろう。まずヘルメットを買ってこないといけないけどね。
機関車庫では、KD55の201号機が重要部検査の最中だった。重要部検査とは自動車でいうところの「車検」にあたる検査で、機関車のエンジンなどの重要な装置を車両から取り外して重点的にメンテナンスする大掛かりな検査だ。
京葉臨海鉄道では基本的に自社の機関車の検査は千葉貨物駅構内の機関車庫で行っており、必要に応じて部品メーカーの担当者を呼んでチェックしているという。それを専門とする工場ではないのでどうしても時間がかかり、機関車1両の全般検査に数カ月、場合によっては半年程度の時間を要することもある。DD200以外はすべて昭和生まれの機関車なので、そのあたりも検査が長期化する要因になっているのかもしれない。
構内を見学しながら、我々が添乗する509列車に近づく。途中でタキ1000形式タンク貨車の1000号車を見かけた。
タキ1000形式とは、石油などの燃料を輸送する専用貨車。グリーンやチャコールグレーのソーセージ型のタンク車が連なって走っている姿を見かけたことがあると思うが、その量産型の貨車がタキ1000形式で、現在1000両以上が全国を走っている。そのちょうど1000番目に作られた車両は、記念の「三色塗装」に塗り分けられているのだ。
だからどうした、と言われてしまうと返す言葉もないのだが、それを言い始めたらこの企画そのものが成り立たなくなってしまう。ここは一つ、記念の1000号車を目撃した我々の幸運を、ともに寿いでいただけたら幸甚です。
そして、次回はいよいよ「会社線」を走るディーゼル機関車に添乗する。
写真:文藝春秋/山元茂樹