本格的に音楽活動を始めたのんさんが、大先輩である高橋幸宏さんに率直な疑問をぶつけた。「自分はこれでいいのか」「どうすればかっこよく年齢を重ねられますか?」。ふたりが5月9日同日にリリースするアルバム『スーパーヒーローズ』(のん)と『EXITENTIALIST A XIE XIE 』(THE BEATNIKS)の制作秘話についても明かす(全3回/#1#2より続く)。

高橋幸宏さん(右)、のんさん(左)

僕が全面的にプロデュースしていたら、違うテイストになってたかも

――のんさんのファースト・アルバム『スーパーヒーローズ』では、幸宏さんも『My Day』という曲を提供されています。

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高橋 僕が女性シンガーのプロデュースや楽曲提供をよく手がけていた80年代の頃のイメージはどこかにありましたね。シーナ&ロケッツ、SUSAN、「風の谷のナウシカ」の頃の安田成美さん、ピンクレディーのシングルまで(「Last Pretender」)。一番売れなかったんだけどね(笑)。

のん 素敵な曲をいただいて嬉しかったです。英語の歌詞はハードルが高かったんですが、自分のつくる曲より声が出しやすいことに気がついて。

 

高橋 自分でつくる曲はパンク系が多いかもね。

のん はい。自分で普通に書くとそうなるんです。自分のつくる曲は喉にかかるので歌いづらいんだけど(笑)。

高橋 最初はちょっと意外だったけど、僕の中ではのんちゃんはすでにそういうイメージになっていましたね。パンクは70年代後半から実体験で知ってるし、バックでプレイしている人たちが巧いから。

のん はい。のんの曲をかっこよくしてもらいました!

 

高橋 もし、僕が全面的にプロデュースしていたら、違うテイストになってたかもしれないけど、プロデュースには2通りあって、ひとつはその人が持っている個性や長所をできるだけ引き出すこと。もうひとつは、本人の志向とは別に完全に作り込んでしまうこと。

――かつてのアイドルや歌謡曲は後者でしたね。

高橋 中には「すべておまかせします」って人もいるんです。ただ、どんな場合でもそのアーティストに対するリスペクトは大切なんです。

のん それは楽曲を提供してくださった方々やミュージシャンのみなさんからも感じました。