自分で音楽をつくってもいいんだ。気持ちが自由になれた
高橋 今回のアルバムはのんちゃんが自分で表現するってところが重要なポイントですよね。
のん そうですね。のんになって、自分で音楽をつくってもいいんだって分かってから、気持ちが自由になれたのは大きかったです。
高橋 自分のやりたい方向性やテイストはもう出せていると思いますよ。
のん やった! それに尊敬する大好きな方に曲をお願いして、自分の色んな面が出せたと思います。
高橋 僕、アッコちゃん(矢野顕子)がつくった「わたしはベイベー」のデモテープを聴かせてもらったんですよ。これ、歌えると思った?
のん 矢野さんがそのままリリースした方がいいんじゃないかって思いました。ホントは自分の曲以外はすべてシングルカットしたいくらい。
高橋 デモはアッコちゃんがピアノだけで歌ってるんだけど、転調だらけの難しい曲で、アルバムでいえば『ごはんができたよ』の頃の感じ。
のん 矢野さんの曲に幸宏さんにドラムで参加してもらえるなんて光栄でした。
高橋 他の曲よりも苦労するだろうなと思っていたら、のんちゃんの歌、すっごくうまいの。これ普通の人にはなかなかできないよ。見事にはまったと思う。
のん ホントですか? 矢野さんに書いていただいた歌詞は気持ちにすっと入ったんです。さすがです。
――同じく5月9日に、幸宏さんと鈴木慶一さんのユニット、THE BEATNIKSの新作『エキジテンシャリスト・ア・シェーシェー』もリリースですね。
のん 聴かせていただきました。すごくロックな曲がありますよね?
高橋 ニール・ヤングの「I’ve Been Waiting For You」のカヴァーかな。ああいうギターの嵐みたいな曲は珍しいですね。
のん 私は「シェー・シェー・シェー・DA・DA・DA・Yeah・Yeah・Yeah・Ya・Ya・Ya」もユーモアがあって大好きです。
高橋 「おそ松くん」のイヤミの「シェー!」って知ってた?
のん アニメの再放送をしていたので、なんとなく知ってました。
高橋 大の大人がアホでしょ。その一方、とてつもなく厳しくて痛切な曲もあって、「Speckled Bandages」なんて僕、歌いながら泣きそうになりましたから。のんちゃんにこの曲が響くようになるのは、何十年も先だとは思うけど。