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怒りは音楽のモチベーションになり得る

――THE BEATNIKSは怒りがモチベーションとなった時に活動すると言われていますが?

高橋 活動のタイミングで色んなことが起きるからそういうことになっちゃったんです。最初は1981年。YMOで『BGM』、『テクノデリック』というシビアなアルバムをつくり、僕はプロデュースを含めると計11枚のアルバムを制作していた異常な年で、ロンドンに半年いて日本に戻ってきたら、クリスタル族っていうのがいたの(笑)。

のん 何ですか? クリスタル族って?

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高橋 語源は『なんとなく、クリスタル』という小説なんだけど。ピンクの口紅にブルーのアイシャドウ、ニュートラっていうすごく保守的なファッションの女の子たちが街に急に増えたんですよ。ロンドンでニューウェイヴやニューロマンチックを目の当たりにしていた僕にはそれが何とも奇異に見えてしょうがなかった。それで慶一と誰もやらないような実験的なことをやろうって、結成したのがTHE BEATNIKS。

――その後も、アルバムのリリースタイミングで大きな社会的事件が起きる。

高橋 たまたまなんだけど、2001年の時は9.11があったし、前作は東日本大震災の年でしたからね。今はみんなが怒っててあたり前みたいな空気だし、不安定な世界情勢とか不穏な空気がどうしても入ってくるんですよ。

――怒りは音楽のモチベーションになり得ると?

高橋 なるんじゃないですかね。アーティストはそれをいかに表現するかですよね。THE BEATNIKSはひねりを利かせたり、ユーモアでくるんだりしているけど、のんちゃんのオリジナルはストレートだよね。

のん はい。正直に言いたいことを書くとこうなってしまうんです。ストレートでシンプルなロックがいちばん好きなんで。

音楽の方が言いたいことを言えるのかもしれない

高橋 「へーんなのっ」とか「正直者はゆく」とか、明らかにアンチを表明しているもんね。

のん 怒りが多すぎたかなと思うところもあるんです。歌詞は今のところは自分が思ったことしか書けなくて。

高橋 そういうアンチの感覚が昔から様々な文化なり芸術を生んできたわけだし、大体ロックがそうだからね。

のん そうですよね。私は人とうまく話すことが苦手なので、音楽の方が言いたいことを言えるのかもしれないです。

 

高橋 言いたいことがあるというのは強みですよ。これからはそこに痛みが加わってくると思うんです。なぜ自分が痛いかっていうのを表現できていくともっとロックになると思う。

のん なるほど。勉強になります。頑張ります。