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 一つは「目を見張る成長を遂げたこと」。個々のメンバーの魅力は大前提として、デビュー当時はこれまでのキャリア差もあってか、パフォーマンススキルのバラつきが見られたのも事実。最初から“ほぼ完成形”で出てくる大手事務所発の秘蔵っ子グループとは違い、オーディション番組出身グループの宿命でもある。

 しかしKep1erはその「避けられない課題」に真摯に向き合い、克服した。素人目にも分かるほど、カムバック(新曲披露)するたびにパフォーマンスのクオリティが向上していくのが目に見えた。「この先もずっと追って見たい」。そう思わせるアーティストに成長し、大きくなったファンの声がついに運営の意思を動かした。

 かつてはデビューを争うライバルであったにもかかわらず、ずっと練習生としての生活を共にしてきたかのような団結力と、メンバー間に流れる明るく柔らかな空気感もKep1erの魅力だ。

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Kep1erジャパンオフィシャルXより

 長年SMエンターテインメントでスキルを磨き、ガルプラ1位に輝いた実力派ボーカルのチェヒョン、若くして場数を踏んできた“努力を続ける天才”ヒカル、可愛さとかっこよさ同時に持ち合わせたヨンウン、ビジュアル面で真っ先に目がいくグループの“華”シャオティン、年少メンバーでありながらダンスにおいては先導者となるダヨン、子役出身で最年少ながら芸能キャリアが長いイェソ、デビュー当初は「TOMORROW X TOGETHERのヒュニンカイの妹」としてあらぬ噂や中傷を受けつつも、それを跳ね返し、今や愛されるムードメーカーとなったバヒエ。多種多様なバックグラウンドのキャラクターが揃っている。

盤石なチーム体制を築いたリーダーと副リーダーの名コンビ

 だからこそ、9人をまとめる“リーダー”と“体制”に成功のポイントがあったと筆者は考える。まず、リーダーのユジンの“人柄”と”スタンス”に注目したい。CLCというグループで先にデビューを経験し、「HELICOPTER」という代表曲もある中で、新しい世界に飛び込んだ彼女。ガルプラの冒頭からユジンの実力と存在感は光っていた。

最年長でリーダーのユジン(Kep1erジャパンオフィシャルXより)

 それだけでもKep1erのリーダーとしてこれ以上ないほどの適任といえるのだが、年下のメンバーたちを後ろから励ましながら支えていくスタイルが功を奏したのではないだろうか。自らの芯は強く、しかし他人には寛大。そんなユジンのスタンスがKep1er全体の雰囲気を作っているように感じる。