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「あれ? 照れ隠しではなくて、本気で喜んでいないんだ」妻の体調不良すら許せなかった、“モラハラ夫”が自分の加害に気づいた瞬間

「あれ? 照れ隠しではなくて、本気で喜んでいないんだ」妻の体調不良すら許せなかった、“モラハラ夫”が自分の加害に気づいた瞬間

中川瑛さんインタビュー #2

2024/07/13

genre : ニュース, 社会

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 大学内の奨学金を得て、イギリス・オックスフォード大学で1ヶ月のあいだ政治哲学を学んだ。そのときに「英語だけではダメだ」と感じ、フランス語を学ぶためにさらに約1ヶ月間の語学留学へ。その後も1年間、フランスで政治哲学と倫理学の研究を続け、帰国後は「株式会社ちえもの」を創業し、人文社会科学の知見を活用した事業開発・組織開発に携わった。

 24歳で1年間のフランス留学から帰ってきた後、イベントで知り合った同い年の女性と意気投合し、交際に発展。

 交際から1年ほど経った2017年2月、2人は結婚した。そこから前編の記事の冒頭に繋がる。

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怒りのきっかけがわからない

 実は結婚する以前から中川さんは、時々妻には理解できないタイミングで怒りを顕にした。

 例えば一緒に外出する予定があったが、妻側の都合でどうしても時間をずらしてもらわなければならなくなった場合など、予定変更が不機嫌の引き金となった。

 妻が体調不良になるのも許せなかった。妻が具合悪そうにしていると、

「なんで体調が悪いの? いつまで元気がないの? 元気が出せないのは僕を愛していないから?」

 と言って責めた。

中川さんが原作者を務めたコミック『99%離婚 モラハラ夫は変わるのか』より

 休日に妻が友だちとのランチの予定を入れると、

「なんで俺を優先しないんだ? なんで休みを一緒に過ごしてくれないんだ?」

 と言って詰めた。

 何が怒りのきっかけになるのか分からなかった妻は、結婚して同居を始めてからの平日は中川さんが寝静まった後に帰宅し、休日は友だちとの予定を入れるなど、なるべく顔を合わせないように努めた。

 やがて結婚から2年ほど経った頃、妻は勤め先での激務に蝕まれてうつ病を発症し、休職。

 休職中もひと月に一度ほど大喧嘩になり、中川さんはその度に妻を泣かせた。

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