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「いい子ちゃん症候群」を生む子育てはもう古い AI時代に求められる教育とは

『孫のトリセツ』より #1

5時間前

genre : ライフ, 教育, 社会

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少し図々しくなってあげよう

 祖母たちは、母たちより、少しだけ図々しくなれる。これを利用して、世間体を気にする親たちの緊張を少しほどいてあげたらどうかしら。我が家の2歳児は、斜め前のおうちの玄関先に置いてある乗用おもちゃ(ミニーちゃんの飛行機)がいたくお気に入りで、散歩のたびに触りたくて、触りたくてしょうがない。彼の母(およめちゃん)は、当然、「他人のおもちゃを無断で触るなんて言語道断」と厳しく遠ざけていた。

 私としては、その家の家族と交流もあるし、「外に出してあるおもちゃをほかの子が多少触っても、きっと気にしないだろうなぁ。うちだってぜんぜん気にしないもん」と思っていたので、ちょっと乗るくらいは許していたが、さずがに道路に乗り出していくことは止めていたのだった。ところがある日、その家の向かいのおうち(我が家の隣家)のマダムが、「大丈夫よ~、乗ってっちゃいなさい。私が言っといてあげるから」と満面の笑顔で声をかけてくれたのである。

 ちょうどそのとき、持ち主のママが、郵便を取りに出てきた。ガチャっと玄関が開く音がしたら、孫は跳びあがるように乗用おもちゃを降りて、すたこらさっさと逃げていく。彼の母親の緊張感が、ここまで孫に伝搬しているとは…これじゃ、世間は厳しいものと思い込んじゃうよなぁと感じたその瞬間、隣家のマダムが、「貸してあげてもいいわよねぇ」とすかさず華やかな声をかけてくれた。持ち主のママも即座に笑顔になって「もちろんです~、いつでも、どうぞ」と言ってくださった。隣家のマダムは、高校生の孫がいて、私より先輩おばあちゃん。さすが、いちだん肝が太い(微笑)。

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写真はイメージ ©AFLO

 で、その話をおよめちゃんにするのだけど、およめちゃんは「そうは言っても」とドン引き。そこで私が「ちょっとした駄菓子をお礼にポストに入れたらどう?」と提案。それで、やっと彼女が笑顔になった。以来、孫がミニーちゃんの飛行機を借りたときには、孫も大好きなお菓子に「ミニーちゃんお借りしました、ありがとうございます」と書いた付箋紙を貼って、ポストに入れさせていただいている。孫は2回ほど借りたら気が済んだらしく、最近は、ミニーちゃんに手を振って楽しそうに通り過ぎる。

 躾も大事だけど、必要以上に世間を怖がらせることもない。もしも、母親が神経質になっているようなら、ときには祖母がちょっと図々しくなって、孫に「世間とは優しいものである」ことを知らせてあげよう。

孫のトリセツ (扶桑社新書)

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黒川 伊保子

扶桑社

2024年6月29日 発売

「いい子ちゃん症候群」を生む子育てはもう古い AI時代に求められる教育とは

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