――狂気を感じますね……。
かりんこ 怖いですよね。しばらくしたら「なんでドアを開けないんだ」と逆上して、ゴルフクラブでお隣さんのドアを殴りはじめて。それで、同じフロアの他の部屋の人や、到着した警察に取り押さえられたのですが、それでも「コンビニに行こうとしていただけだ」「なんで俺がこんな目にあわなくちゃいけないんだ」と喚いていました。
さらにその後、警察の隙をついて彼ピッピが私たちのいる部屋に入ってきてしまって。こんな状況になっても、「なんで俺たちの問題なのに、こんなにたくさんの人に迷惑をかけるんだ」「部屋に戻って話そう」と言ってきて、怖かったですね。でも、お隣さんが私を守ってくれて、警察もすぐに来てくれて。彼が連行されたのを見届けてからの記憶はなく、次に気付いたときは、病院のベッドの上にいました。
全治一か月、医師からは「刺す場所が少しでもずれていたら即死」
――鼻の怪我はどんな状態でしたか?
かりんこ 怪我の状態は、かなりひどかったです。刺されたのは鼻のはずなのに、顔全体が赤黒くパンパンに腫れていて、目もうまく開けられない。隣の病室に入院していた子どもから、「ブルーベリー妖怪女」なんてあだ名を付けられました。
インフルエンザやコロナウイルスの検査で、綿棒を鼻の奥まで押し込んでグリグリするじゃないですか。あんな感じの痛みと違和感がずっとあって、本当に憂鬱でしたね。
それでも医師からは、怪我については運が良かったと言われて。「刺す場所が少しでもずれていたら、即死だったかもしれない。そうでなくても、後遺症が残ったかもしれない」と言われて、ゾッとしました。
――病院には、どのくらい入院していたのですか。
かりんこ 1ヶ月は入院していたかな。最初は自分でも目を背けたくなるくらい痛々しかった顔も、退院するころには怪我をする前とほぼ変わらないくらいまで回復しました。ただ、入院していた頃の記憶が本当に曖昧で。覚えていないことも多いんです。
――それは、事件や怪我のショックによるものなのでしょうか。
かりんこ 担当医いわく、そうらしいです。「鼻が本当に治るのかな?」と心配だったけれど、怪我の痛みよりも、事件によるショックで記憶障害を起こしていたのかなと思います。