子連れ赴任だった名古屋で動物園デートをした相手とは
名古屋市立の山吹小学校に転校した芳武さんですが、嘉子さんは多忙でなかなか世話ができない。そこで、郁子さんという若いお手伝いを雇い、住み込みで家事とケアをしてもらう形で、6畳2間の官舎で3人暮らしをしていたそうです。
昔は今と違い、住み込みのお手伝いさんがいる家は珍しくありませんでした。花嫁修業の一環のような感覚で、結婚前の若い女性が住み込みでお手伝いさんになる例は多かったんです。そのお給金も安く、ですから、特別な高級取りでなくとも、そこそこの家にはお手伝いさんがいたんですね。
そんな中、名古屋ではロマンスもあったようで、裁判所の方で家に時々遊びにきていた男性がいたことを芳武さんは覚えているとおっしゃっていました。なかでもよく覚えているのは、嘉子さんと芳武さん、ある男性の3人で名古屋の動物園に行ったことだそうです。そのお相手は、後に再婚相手となる三淵乾太郎(みぶちけんたろう)さんだと思われます。初代最高裁判所長官の三淵忠彦の長男です。
三淵忠彦は初代最高裁判所長官、嘉子はその息子と再婚する
ドラマでは、第14週から登場した岡田将生さん扮する星航一が、やはり初代最高裁判所長官・星朋彦(平田満)の長男という設定ですね。
三淵忠彦といえば、裁判官を退官し、戦後の司法大改革で最高裁判所が設立される際に初代最高裁判所長官となった人。当時、何かと風当たりの強い家庭裁判所に対し、設立のために尽力した嘉子さんと、それを応援した人という関係でもありました。ドラマで描かれたように、忠彦さんが本を出すのを嘉子さんが手伝ったというのも事実です。
嘉子さんと乾太郎さんとの間にロマンスが生まれるのはまだ先の話として、嘉子さんはとりわけ恋愛体質というわけではないでしょうけれど、男性から好意を持たれることはあったようです。芳武さんによると、嘉子さんが亡くなった後に持ち物を整理していたら、別の方が嘉子さんに書いたラブレターも見つかったなんてエピソードもあります。