日本初の女性弁護士・三淵嘉子をモデルにした主人公の人生を描き、大ヒット中のNHK連続テレビ小説『虎に翼』。

 実は法曹界でもファンが多数の同作について、自らもファンだという同期の弁護士、太田啓子さん、佐藤倫子さん、國本依伸さんの3名に魅力を語っていただきました。2024年6月20日(木)発売の『週刊文春WOMAN 2024夏号』より一部を抜粋し、掲載します。

主人公の猪爪寅子(伊藤沙莉) ©NHK

「朝ドラ待望論」は、弁護士業界では昔からあった

太田 『虎に翼』は弁護士ばかりでなく、友人・知人の反応が熱くて、追いかけて観るようになりました。

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 朝ドラは子どもたちのお弁当や朝食を作るときに観たり観なかったりなのですが、『カムカムエヴリバディ』(2021-22年)は自分もよく聴くラジオ英会話の話なのでハマってました。『虎に翼』はBSでの放送、総合での放送と2回観て、在宅ならお昼の再放送を追いかけてます。

佐藤 朝ドラは『あまちゃん』(2013年)のほかはほぼ観ていません。『虎に翼』には放送前から期待していて、憲法14条が読み上げられる初回は泣きました。日本弁護士連合会(日弁連)も「女性法曹を増やしたい」と、2016年の早稲田大学のイベントを皮切りに、毎年、女子中高生向けのイベントを続けてきています。「日本初の女性弁護士のどなたかが朝ドラにならないか」という待望論は、弁護士業界のなかではかなり以前からあったと思います。

國本 僕はお二人よりも朝ドラ歴はありますね。評価の高い『カーネーション』(2011-12年)はアメリカ留学中で見逃してしまいましたが、それ以外は『ウェルかめ』(2009-10年)以降全て観ています。

 最近のものだと、『エール』(2020年)、『カムカム』はだいぶハマっていました。『虎に翼』は「期待したいけど、日本の司法ドラマだからどうせ裏切られるよね」と思っていたんだけど、初回に憲法14条がドーンと出て、腰を抜かしました。

 正直、弁護士をやってると、リーガルドラマに期待しないじゃないですか。

太田 そうですね、ありえない展開ばかりなので。でも、『虎に翼』はきちんと法律を扱いながら、エンターテイメントになっていて、法律の知識に関係なく面白く観られるのがすごい。