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弁護士が盛り上がるポイントとは

佐藤 第1週で「日常家事債務」と「婚姻女性の無能力」が、物語の中で関連づけて説明されているところとか、本当に驚きました。

國本 日常家事債務条項というのは、簡単に言うと、「妻のサザエさんが夫のマスオさんに確認せずに、三河屋さんに注文するなど(日常的な行為)をしてもよい」ということ。この、夫婦の一方による家庭以外の第三者との取引は夫婦が連帯して責任を負うことを定める条項は今の民法でもあります。

 一方、僕が触れてこなかった戦前の民法では、「妻の無能力」と言って、妻が法律行為をする能力を認めない条文がありました。しかし、妻に法律行為をする能力を全く認めないと、当然家庭が回らなくなってしまう。そこで戦前は「日常行為なら、夫に確認せずとも妻がしてもよい」という日常家事債務条項が例外として機能していたわけです。

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 その二つの法律のつながりを、ドラマのなかでは寅子の疑問に桂場(松山ケンイチ)が答える形で見せている。弁護士が独立した知識として知っていることが「リアルにそうつながるのか!」と気づかせてくれました。

佐藤 改正前の旧民法を読みたいと思っても、総務省が運営するポータルサイト「e-Gov」にも入っていなくて見ることができないのは問題ですね。私達も旧民法の知識は断片的にしか持っていなくて、『虎に翼』に出てくる法律や歴史の考証は勉強になります。

國本 ドラマに刺激されて、帝人事件に関する本を買おうとしたら、古本屋ですごい高値がついていました。法律家の間で資料の奪い合いになっているのかも。

太田 弁護士たちの盛り上がりが凄いですよね。Facebookを開くと、同業者による感涙の投稿が毎日のように流れてきます(笑)。

佐藤 おそらく、男性弁護士はドラマに出てくるエピソードの元ネタや法律などのマニアックなネタで、女性弁護士は昔から今につながる女性差別の問題で盛り上がっていると思う。夫も弁護士ですが、彼と私のSNSのタイムラインでは見え方が違うんじゃないかな。