浙江省から来日したAさん(女性・24歳)はこう語る。「中国国内の大学を卒業する時には、中国国内で働こうと考えて何十もの会社に応募しましたが、ひとつも内定はもらえませんでした。ちょうどコロナ禍の最中で、卒業しても家にいるしかなく、状況を打破しなければと、両親と相談して、日本に留学することに決めました」
既に大学を卒業後3年目に入っている。待ったところで、何か解決したわけではない。中国国内の就職環境は、以前に増して厳しくなっている。
「日本に来る前は、博士号を取得して中国の地方都市で教職に就きたいと思っていました。ただ、急激に高学歴化が進む中国では、大学教員ポストの競争が激化して、就職できるとしても非正規雇用ばかり。運良くそれで大学で働いても、5年以内に成果を出して正規採用されないと解雇されてしまう。プレッシャーは大きいです。正直、自分の将来が全く見えなくて不安でいっぱい。結局、まだ大学院にも合格していないし、日本に残れるかも分からない。もう年も若くない」
中国で生活する同年代の友人は結婚をしはじめた。当初イメージしていた「博士号を取って中国に戻って大学教員に」というような将来への意欲はほぼなくなり、日本のそこそこの大学院に入り、日本で仕事を見つけたいと考えるようになっている。
日本人の想像を超える中国の景気悪化
「私は頭のいい大学を出ているわけではありません。就活を半年頑張っても全く仕事が見つからなかったので、日本に来ました」
そう語るのは福建省出身のBさん(女性・23歳)。中国国内では複数の企業インターンを経験し正社員になることを目指していたがうまくいかなかった。応募してもほぼ返事はなかった。
「中国では、1つのポジションに数百、数千人が競争しています。私のような三流大学の出身者は、いいポジションを望んでも得るのはほぼ不可能。
少し年上の親戚はコロナ禍の前から、月給6000元(約12万6000円)の仕事に就いていましたが、それじゃダメだ、修士号を取れば1万元(約21万円)以上の仕事にありつけると大学院に進学しました。実際に当時は修士号を取るだけで給料が上がったんです。ところが今年、大学院を出てみると、数百社に応募しても返事がない。今では5000元(約10万5000円)の仕事も見つかりません。修士の学歴も、急激に希少価値が無くなってしまった。正直、私も今後どうするか分かりませんが、一歩一歩進むしかありません」