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石丸伸二の紫は「不良」「性的な魅力」、蓮舫の黒とピンクは「やや閉塞感」、小池百合子の緑は…印象戦略コンサルタントが解説する、都知事選の印象を決めた“色選び”

都知事選はイメージの戦いだった#1

5時間前
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 蓮舫さんのポスターは黒をバックにピンクのR。やや閉塞感のあるカラーリングですが、インパクトは強く、若い世代への親和性を感じました。小池さんは安心感のある緑としなやかな字体、蓮舫さんはビビッドなカラーと力強いゴシック体と、現職との対比を意識したポスターに見受けられました。

©時事通信社

 ちなみに、選挙ポスターに「真正面」で写っていたのは小池さんだけ。肩が広く見えるぶん貫禄が出ますし、有権者に真っ直ぐ向き合い「開示」をしている印象も感じられました。

高価なジュエリーでなくアクセサリーを使う主婦感覚

 小池さんはスーツをすらりと着こなす印象があり、ベストドレッサー賞も受賞されています。かっちりした高級な装いで威厳を発揮するのではなく、私たちも背伸びすれば手が届く価格帯の市販やセミオーダーのものを選んでいるのがポイントです。

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 しかもセットのジャケットとタイトスカートを別々に合わせ、着まわしているのです。今回の都知事選でも前回の選挙で見かけた服を着用されていました。暑かったせいもありますが、素材も麻など柔らかいもので、有権者との距離がより一層縮まる印象でした。

 さらに言えば、炎天下でポロシャツ姿になる候補者も多かったなか、ジャケットを羽織っていたのは有権者への敬意ととれますし、選挙の先の「知事たるもののイメージ」を周囲に示していたようにも思います。

 また高価なジュエリーでなくアクセサリーを使うなど、私たちの感覚にほど近いものをお召しで、まさに主婦感覚そのものを体現しています。これは小池さんが女子校出身で、当時から敵を作らず、良好な友情を築くように努めてこられたからだと1回目の選挙の際に関係者に伺いました。隙のある装いで同性に親近感を抱かせ、ラポール(信頼関係)を築き、味方を増やしていく戦略です。

揺れるスカーフの4つの効果

 そして、小池さんはどんな服装の時も必ずと言っていいほどスカーフを巻いています。

 その効果は(1)同じ洋服を着回していても、スカーフを変えることで別のスタイルに見せられる、(2)ジャケットスタイルを柔らかい印象にできる、(3)カジュアルな丸首インナーの格を上げられる、(4)顔まわりを自由自在に引き立たせられるなど様々。

 そして人は動くものに視線がいくので、ジャンヌダルクの旗のように、群衆を扇動するリーダーシップも発揮することができるのです。

乳原佳代(印象戦略コンサルタント・神戸情報大学院大学客員准教授)
大阪府出身。航空会社退職後、英国ロンドンシティーリットでコミュニケーションを学ぶ。帰国後、印象戦略コンサルティング会社キャステージを起業。危機管理の観点から、行政や大手企業で演説トレーニングや服装戦略を手掛ける。麹町中学校「制服等検討委員会」アドバイザー、週刊文春「Catch Up」にて各国首脳を始め王室・皇室のファッションについてコメント。著書に『学校でも会社でも教えてくれない 「見た目」の教科書』(ダイヤモンド社)。9月24日(火)NHKカルチャー梅田教室にて「大統領選挙に見る印象の重要性」開催。
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1300499.html

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