「東京都知事選での小池百合子さんは、“イメージ戦略”でも圧勝していた」
そう分析するのは、印象戦略コンサルタント・神戸情報大学院大学客員准教授の乳原佳代氏。
“選挙に強い小池”はいかにして作られたのか。蓮舫氏、石丸伸二氏に欠けていたものは何だったのか。「着こなし」「ジェスチャー」「スピーチ」の観点から、小池氏の勝因を徹底解剖する。
小池氏は「女性性」、蓮舫氏は「ユニセックス」を強調
白のパンツスタイルが印象的だった蓮舫さんですが、選挙活動中、シャツがパンツからはみ出ていたり肩のラインがずれていたりと、少しサイズが大きいものをお召しだったようです。ユニセックスを強調されたのかもしれませんが、スタイルの良さを前面に押し出して颯爽と着こなしても良かったのではないでしょうか。
蓮舫さんが控えた「女性性」を、前面にアピールしたのが小池さんです。お二人はともにショートカットですが、蓮舫さんはより短くサバサバした印象。一方、小池さんは豊かな毛量、ウェーブがかった毛流れを活かしたエレガントなスタイルです。
初当選時から8年間変わらぬ、女性らしく年齢を感じさせないショートヘアからは、人前に出るための最低限の装いやヘアメイクを、同じスタイルで何年も継続する覚悟が見て取れます。
石丸さんの髪型についても一言。都知事選前半は前髪が長く「何か隠している」印象を受けましたが、終盤はひたいを出していて、爽やかで開けたイメージへと変わっていました。スーツの着こなしを含め、まだまだ伸びしろがありそうです。
演説中に手を激しく動かしても伝わるのは熱量だけだが…
ジェスチャーにおいても小池さんの戦略が光っていました。候補者の中には感情のたかぶりに伴い、手の位置が高くなったり動きが激しくなったりしていた人もいましたが、それはあくまでも思いの表れ。熱量が伝わるに留まります。
一方で小池さんのジェスチャーは、感情任せではなく「意図的」なもの。指先に至るまで手の動きと発言の内容、そのタイミングが正確にリンクしています。つまり小池さんは、「話の内容をわかりやすく指し示す」ため、「強調する」ために大きく力強く両手を使っているのです。