石井 そう、「ネットの恋人」です。SNSだけ見て、いいなと思ったら、ダイレクトメールで連絡し、そこで告白する。人によってはデートも全部オンラインで、半年間付き合っていても一度も顔を見たことがないなんてことが起きています。
2019年に、愛知県の私立高校の生徒に対して行ったアンケートがあります。出会ってからどれくらいの期間でセックスをしたかという質問で、1カ月以内の複数の項目のうち、「出会ったその日」という回答がダントツで多かった。
なぜか。その正体が「ネットの恋人」なんだそうです。ネットで出会って、ネットでデートしていても、セックスはできない。だから、「会ってセックスしよう」と言って会うので、アンケートでは「会ったその日」の回答が多くなるのです。
ただ、ネットでいくらやり取りしても、相手のことを本当には理解できない。どこまでも限られた側面しか見えない。だから、実際に会ってから、いろんなトラブルが起きてしまうのです。
親は何をしてやれるのか?
――そうした中で、親のやれることってあるのでしょうか。
石井 先生方が言うのは、親自身が一番苦しんでいるということです。
現在は、昔のような「親のモデル」がありません。だから、親はみんな必死になって育児情報をかき集め、このアプリがいいと聞けばそれをやらせ、日本語もろくにしゃべれない子どもにプログラミングや英会話をやらせる。親がいろんな情報に振り回され、そのしわ寄せが子どもにいっているというのです。
『ルポ スマホ育児が子どもを壊す』を読んでいただくと、その現状が明確にわかると思います。大切なのは、親が情報に振り回されるのではなく、まずは子どもと向き合うことでしょう。
現在は、世の中に情報が氾濫しすぎて、学校の先生方も、地域の大人たちも、子どもたち一人ひとりに向き合うことができにくくなっています。だからこそ、親がまず向き合う。
では、向き合うことってどういうことなのか。そのことについては、本書で様々な先生が語っていますので、ぜひ参考にしていただければと思っています。
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