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「Aは自殺未遂したことや、バイト代を親に取り上げられるという話をしていました。当時は私もそれを信じて、可哀想だと思っていました。Aは母親が教育委員会で、父親は公立高校の教師なのですが、親に権力があるともよく言っていました。

 当時は、教育委員会と大学がつながっていて、Aの機嫌を損ねたら大学への推薦がもらえなくなるんじゃないかと思っていました。でも考えてみたらAはダサいですよね。自分の力ではなくて親の力を頼ってたわけですから」(マサミ)

Aから被害を受けた時の資料などを説明するマサミさんと母親

「夜中でもずっと電話してくるし、受験も近いのに家まで来て…」

 1回目の性被害の後も、Aはマサミさんに執拗に性行為を求めた。マサミさんはストレスで食欲が減り、日常生活にも支障が出始めた。

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「あの時期のマサミは、毎日ただただ無気力に見えました。宿題ができない、朝起きられない、喋らない、笑わない、抜け殻でした。感情がなくなり、日常生活が送れない状態でした」(母親)

 マサミさん自身も、Aとの関係を断ち切ろうともがいていた。

「本当にずっと『別れたい』と伝えていたけど、Aが『自殺する』と言って全然別れてくれないんです。夜中でもずっと電話してくるし、受験も近いのに家まで来て長々喋ったり……。自分でそれを解決することができない状態でした。もうどうしようもなくて、親に打ち明けるしかないと覚悟を決めました」(マサミ)

 しかし親に被害を告白する前に、状況はさらに悪化していった。