自民党の石破茂元幹事長が7月17日、「文藝春秋 電子版」のオンライン番組に出演し、裏金問題の対応からポスト岸田内閣の総裁選まで、日本政治の現状と展望を語った。インタビュアーを務めたのは、政治ジャーナリストの青山和弘氏。

 各社の世論調査で“ポスト岸田”として筆頭に名前が挙がる石破氏。7月6日の自民党愛知県連の大会では、「野党の時の反省をどこかに忘れてしまったのではないだろうか」と苦言を呈したことが報じられている。次の自民党総裁候補として名前が挙がっている石破氏は、自民党のあるべき姿をどのように考えているのか。

石破茂元幹事長(左)と青山和弘氏 ©文藝春秋

「今は野党がばらばら。自民党の期待値が下がっても…」

「岸田文雄氏が自民党総裁では選挙を戦えない」と党内でささやかれている現状について、青山氏から問われると石破氏は次のように指摘する。

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「今までの総理大臣も、人気絶頂ばかりではなかった。総裁がこうだから自分の選挙が厳しくなっちゃったと言うのは、ややエクスキューズ(言い訳)みたいなところがある」

「文藝春秋 電子版」のオンライン番組に出演した石破茂元幹事長 ©文藝春秋

 一方で、自民党が下野した2009年に比較すると、党内には危機感の欠如と見られかねない雰囲気も漂っているという。

「(2009年は)民主党というすごい塊があった。ところが、今は野党がばらばら。(下野した当時よりも)自民党の期待値が下がっても『なんとか行けんじゃねえか』というのがある」

 党が掲げる政策の刷新に話が及ぶと、アベノミクス以降の経済政策を石破氏は次のように批判した。

「円安で物価がむちゃくちゃ上がった。積極財政で借金も増えた。金利を上げたら国債費がかさむので予算が組めない。どうにもならない状況になりつつある。ワイズスペンディング(賢い支出)に変えていく話を本当はしないといけない。軟着陸なんかできない。ハードランディングなんだけど、それによって飛行機がぶっ壊れたり、乗客が死傷したりしないハードランディングはなんだということです」

 さらに、「アベノミクスからの軌道修正をはかっていくのか」と問われると、石破氏は、「それはしなくてはいけない。アベノミクスを否定するわけではなくて、ずっと続けるべき政策でしたか、ということ」と語った。

 石破氏はほかにも、あるべき幹事長の姿についての持論、憲法改正問題、東京一極集中を解消するための道州制など、多岐にわたる話題について語った。

「文藝春秋 電子版」では、90分におよぶ番組「総裁選への覚悟と岸田総理への提言」のフル動画を配信している。