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「本当に大変なことをしてくれているんだ。そしてこれは本当は私がすべきことだったんだ」。妹の表情を見ながら強くそう思い、それは今でも忘れることができません。

 夫も妹の出産に立ち会いましたが、出産する妹の姿に「子どもは簡単に生まれるものではない。出産はすごい大変なことで、それを妹が引き受けてくれたんだ」ということを夫にも分かってもらえたことは、よかったと思っています。

実感がこみ上げてきた瞬間

――生まれてすぐ、自分たち夫婦の子だという実感は湧きましたか?

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石原 実は娘が生まれてから3日後に、私に緊急の仕事が入り、ロサンゼルスに戻る必要が出てきてしまいました。生まれて間もない娘と一緒に帰るにも、飛行機にはまだ乗せたくないという状況で、さて困ったという時に妹が「私が面倒みておいてあげるよ。母乳もそのうち出てくると思うし、仕事が落ち着くまで育てておいてあげる」と言ってくれました。

 その時の私たちは、親としての自覚もずいぶん足りなかったと思います。結局、妹の言葉に甘え、1カ月ほどは娘なしの生活を送ったこともあり、実感が湧くのに時間がかかりました。

 でも、子どもが生まれてから初めて迎えた母の日のことです。母を労うために、レストランへ行ったんです。母と私、夫と子どもが席に着くと、ウエイトレスの方が、「Happy Mother’s Day!」と言って、カーネーションを2本、私たちのテーブルに置いてくれたんです。

 最初はなんで2本なのかなって。でもよく考えると、1本は母で、もう1本は私にだった。そのとき「あ、私も母親なんだ」って初めて気づかされ、それが自分でもおかしかったです。ようやく実感がこみ上げてきた瞬間でした。(続きを読む)