「経済格差を利用した貧困ビジネス」、「女性の子宮の搾取」など、負のイメージと結びつきやすい代理母出産。有償で行う場合は報酬として大金を受け取ることができるため、生きるための手段として貧困国では代理母になることを希望する女性もいる。
なお日本では代理母出産について定めた法律はまだない。一方、アメリカでは複数の州で代理母出産が認められており、なかでもカリフォルニア州は法律の整備が進んでいるという。
カリフォルニア州在住の石原理子さんは、17年前に代理母出産で子どもを授かった。その後、精子提供や卵子提供、代理母出産をコーディネートする「ミラクルベビー」を立ち上げた石原さんは、なぜ当時、代理母出産を選択したのか。そして、カリフォルニア州における代理母出産の実態とは。(全2回の2回目/最初から読む)
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――石原さんは、代理母出産によりお子さんを授かったあと、日本人向けに、精子提供や卵子提供、代理母出産をコーディネートする「ミラクルベビー」を立ち上げました。やはりご自身の経験が大きかったのでしょうか。
石原 娘は1月生まれですが、その前の年、まだ無事に生まれてくるかどうかわからないという時期に、ポンと考えが浮かんだんです。同じように子どもが産めずに悩んでいる女性の助けになれるんじゃないかと。
もし私が日本にいたのでは、絶対に代理母出産にはたどり着けませんでした。カリフォルニア州に住んでいてさえ、当時の私には代理母出産の知識もなければ情報もまったくありませんでした。
代理母出産を進めるにあたり、医師からは弁護士の紹介はありましたが、流れや、やるべき事を教えてもらうという事はありませんでした。彼は医療の専門家であり、エージェントではなかったからです。私達はこの頃はエージェントの存在さえ知りませんでしたので、自分たちで何をするべきなのか調べましたが、煩雑だったので順番も間違え、時間もたくさんロスしてしまいました。
そんな失敗も含めた自分の経験を活かしながら、日本人で代理母出産を希望する方に、たとえ英語が話せなくても私が医師や弁護士、保険会社などの間に入って説明やコーディネートをし、出産までの行程をサポートしていく事ができるのではないかと思ったんです。
そう思い立ってからの行動は早かったです。保険のエージェントに話を聞いたり、何人かの弁護士にインタビューして情報収集するなどし、娘が生まれた年の夏に、まずは卵子提供のエージェンシーを立ち上げました。その後、精子提供や代理母出産にも携わるようになり、現在は代理母出産については、信頼できる代理母出産エージェントと組み、私がコーディネーターとして間に入る形を取っています。
――ニーズはいかがですか?
石原 かれこれ17年ぐらいこの仕事をしていますが、ニーズは時代によって変化していて、現在は独身女性への精子提供サービスが非常に伸びています。代理母出産についてはそれほど波はなく、常に4、5件ほどをハンドリングしている状況です。