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子どもへの説明は…?

――娘さんには、代理母出産で生まれたことについて話していらっしゃいますか?

石原 4歳ごろですかね、妊娠中でお腹の大きなお友達のママをみて、「私もママのお腹に入っていたの?」と娘に聞かれて、すごく戸惑ったことがありました。夫と相談して、次に聞かれたときは、妹のお腹のなかで育ったことをちゃんと伝えようと決めたのですが、その後、聞かれることもなく時が流れてしまって。

 娘が小学生になったとき、たまに受精卵を移植したクリニックの前を車で通ることがあったので、そのタイミングで「ここでママとパパの受精卵をつくって、ママの妹のお腹で育ててもらったんだよ」と伝えました。

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石原さんと娘さん

 そのときは、フーンというだけで自分の出自が特別なことのようには感じていなかったようですが、あるとき、小学校の担任の先生が、私の仕事にとても興味をもってくれたことがありました。なぜその仕事をしているか理由を聞いてきたので、私自身、妹による代理母出産で娘を授かったことを話したんです。するとその先生が、「お母さんが二人もいるなんて、ラッキーガール!」と娘に言ってくれて。娘もとても嬉しそうでした。

 あとは中学生になったときでしょうか。娘は水泳をしているのですが、スイマーでオリンピックの金メダリストであるミッシー・フランクリンの自叙伝を読んでいたところ、彼女が代理母出産で生まれたことが書いてあったそうです。私のところにすっ飛んできて、「ミッシーも代理母出産で生まれたんだ!」といって、自分から代理母出産の話をしにきてくれました。憧れのスイマーと一緒だったことがすごく嬉しかったようです。

 娘は産みの母である妹とも、普通に仲良しです。「自分の子どもたちより、あなたがお腹にいたときが一番重かったのよ(笑)」と、他愛ない会話を二人でよくしています。

今後の展望は?

――貴重なご経験談をありがとうございました。今後も代理母出産のお仕事を続けていきたいとお考えですか?

石原 日本では夫婦でなくては子どもを授かれないような風潮がありますが、アメリカにはシングル女性、シングル男性、同性カップル、性的マイノリティーの方が子どもを持つという夢を叶えられるチャンスがあります。代理母出産はその一つですが、お子さんを授かることへの希望や、代理母の命や健康など大きな問題にも関わることでもあります。また、私どもとは、お子さんを抱くまでの長い道のりを一緒に歩んでいくことになるので、まずは信頼してもらわないと決して託してはもらえない仕事です。

 決して簡単な仕事ではありませんが、みなさんに家族ができてハッピーな姿を見るのは私の生きがいですし、コーディネーターとして培った経験、私自身の経験を活かしながら、これからもできうる限り続けていきたいと思っています。娘も当事者として、いつか自分の経験をもとに誰かを助けたいと思ってくれたらと願っています。