福井県は持ち家率が高く、貯蓄率も高い
逆に、生涯未婚率が低いのは、男性の場合は奈良県(18.24)、滋賀県(18.25)、福井県(19.19)、岐阜県(20.12)が並んでいる。女性の場合は、福井県(8.66)、滋賀県(9.21)、岐阜県(10.00)の順となっている。これらの県ではなぜ結婚する人が多いのか。
「持ち家率が高く、家も広い。もともと三世代同居が多く、子どもの面倒を見てくれる環境にある。と同時に、結婚しても女性が仕事を辞めずにできる。結婚のための障害が少ない。さらには失業率が低く、貯蓄率も高い。生活が安定している。ベースとなる生活の不安感が低い」(福井県総合政策部ふるさと県民局女性活躍推進課)
福井県は貯蓄率だけでなく、世帯別所得でも上位だ。女性の有業率はトップだ。学力テストや体力テストが上位で「教育県」と呼ばれていることも関係しているのかもしれない。
「ほどほどの田舎」である滋賀県は……
「三世代同居や、両親が近くに住む近居が多い。そのため、子育てがしやすいのではないか。他の県よりも若い世代が多く、高齢化率が低い。ほどほどの田舎である一方、県南部は大阪や京都への通勤圏。また、県民所得が高い。(人口1000人あたりの出生率)粗出生率は全国2位。なおかつ、地域で孤立しないような取り組みをしている」(滋賀県健康医療福祉部子ども・青少年局)
京阪地区へのベッドタウンの地域もあり、かつ、琵琶湖を中心に自然環境も良い。「ほどほどの田舎」ということが、子育てのしやすさにつながり、婚姻率が高いことに影響しているのではないか。
「程度問題だとは思うが、比較的、中部地方は地元志向、結婚志向の人が多い。結婚しても女性は働きます。製造業を中心に有効求人倍率が高い」(岐阜県健康福祉部子ども・女性局子育て支援課)
奈良県で若年層が結婚できない理由とは
一方、滋賀県と同様に京阪地区に近い奈良県は、男性の生涯未婚率が低いが、30~34歳時の未婚率(全国平均は47.1)は47.3で17位。若年層男性の婚姻率は高いとは言えない。また、25~29歳の女性の未婚率(全国平均は61.3)は66.6。東京都(68.3)と京都府(66.9)に次いで3位だ。
「独身であることや子どもを持たないことへ肯定的な意見の人の比率が高い。専業主婦の比率も高い。若年層の婚姻率が低いのは少子化対策としては問題です」(奈良県福祉医療部こども・女性局女性活躍推進課)
総務省統計局「就業構造基本調査」(2012年)によると、奈良県の共働き比率は39.1(全国平均は45.4)。全国で最も低い。つまり専業主婦比率が高いのだ。奈良県で結婚する女性の多くは、仕事を続けないことを示している。