結婚してから引っ越す人も多い
ただ、都道府県別に見る際には気をつけなければならないことがあると、山田教授は指摘する。
「人は結婚した時に、土地や家、マンションを買って移動する。たとえば、大阪府や京都府に住んでいる人が結婚したときに、地価が安いからといって滋賀県に住み、結婚届けを出す。その意味では、ずっと滋賀県に住んでいる人が結婚している、というわけではない。移動を考えないと、県別に未婚率を考える意味が違ってくる。九州地方は男性が、東北地方は女性の移動が多いと言われている」
結婚を少子化対策としてみるとき、若年層の未婚率が低ければ、子育てをする可能性も高い。その中でも25~29歳の女性の未婚率が最も低いのは福島県(54.6)だ。
「平均初婚年齢も低く、山口県(28.6)に抜かれたものの、2016年までの17年間は全国1位だった(28.7)。子育て環境がよいことと結びついているのかどうかは根拠がないし、早く結婚しようとするムードがあるのかどうかも把握できない」(福島県こども未来局こども・青少年政策課)
高校卒業後は県外に就職する人が多い
宮崎県も若年層の未婚率は低い。女性は2番目(54.8)、男性は1番目(39.6)だ。ただし、この数字はポジティブな数字とは限らないようだ。
「都市部と違って働く場所が少ない。そのため、高校卒業後は県外に就職する人が多い。つまり、若年層で残っている人が多いわけではない。ただ、残った人は地元志向で、その中で結婚志向の人が多いということではないか」(宮崎県福祉保健部こども政策局こども政策課)
学校基本調査(2017年5月現在)によると、高校卒業後の県内就職率は、宮崎県は55.8%。全国46位だ。3年ぶりに最下位を脱したものの、全国平均(81.2%)を大きく下回り、高卒で就職する人の半数は県外に流出している。
同様なことは、山口県の平均初婚年齢が低いこと(男性は30.1歳、女性は28.6歳)に関しても指摘されている。
「平均初婚年齢の比較検討も意味がありません。結婚している人がどうか、ということですから。全員が結婚するなら意味がありますが、できちゃった婚が多いだけかもしれません」(山田教授)
では、未婚の問題を解決するとするなら何をすればよいのか。
「若い人たちの経済的な状況を改善したり、女性の働く環境を整備すること、そして、イエ意識を弱めることが大切です」(同前)