2016年『日本で一番悪い奴ら』で注目を集め、着々と地歩を固めていた瀧内公美(34)はその後、代表作とも言うべき『彼女の人生は間違いじゃない』に出会うことになる。そこで彼女が感じたこと、そして得たものとは……。「思い出すだけで涙が出てくる」という壮絶な撮影現場を振り返る。(全3回の2回目/第1回、第3回を読む)
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「インプットもアウトプットも足りない」と必死に勉強した日々
――2016年の映画『日本で一番悪い奴ら』は、瀧内さんが注目を浴びるきっかけになった一作ですが、このころはどんな時期でしたか?
瀧内 アルバイトをしながら一生懸命やっていた時期で、まだなにが正解かわからないままやっていました。『日本で一番悪い奴ら』は抜擢していただいた作品です。でも脚本の読解力も、現場での瞬発力も、本当にまだまだだなって。感受性がただ強いだけで、技術が伴わなかったから、このころは駄目だったんですね。やっぱり現場が少ない、だからインプットもアウトプットも足りないんだと思いました。
――それでインプットを意識的に補っていった、と。
瀧内 はい。『月刊シナリオ』を買って熟読するとか、そのころから必死に勉強するようになったんです。『キネマ旬報』や『映画芸術』を読んだり、舞台挨拶で監督の話を聞いたりして。気になる作品を観て、シナリオ集を読んで、そのあと作品を観返す、ということをひたすらくり返していた時期もあります。この部分がこういう演技になるんだ、自分ならどうするだろうって、シナリオと作品を見比べて考えたりしていました。
代表作『彼女の人生は間違いじゃない』との出会い
――それは根気がないと、なかなか続かないことですよね。
瀧内 悔しかったんだと思います。そのころはもっとできると思っていたので。25、26歳ごろだったと思いますけど、女優はその年齢で淘汰されはじめて、30歳ごろにキャリアアップできずにいると引退することが多い気がするんです。そうならないために、さあ、どうすると思ったとき、私は大人になってからでもできる表現をしようと。
だから学生服を着る役は絶対にしないでおこうと決めていました。制服を着ると、子役からやってきた方には経験値でかなわないし、20代は群雄割拠だから埋もれてしまう。制服が着られなくなった瞬間に、キャリアが終わってしまうような気がしたんです。