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「濡れ場の悔しさは濡れ場で晴らすしかない」瀧内公美(34)が自らの身体で証明したかった“新たな道”《大胆な女優で終わりたくない》

瀧内公美インタビュー#3

14時間前

source : 週刊文春CINEMA オンライン オリジナル

genre : エンタメ, テレビ・ラジオ, 映画

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不安なくそういうシーンに臨めるのはいいことだけど…

――濡れ場の撮影でマイナスの感情を抱くことはありませんでしたか?

瀧内 私はプロの方たちに囲まれてやらせていただいたので、そういう意識は生まれなかったです。きちんとケアしてくださる現場でした。『アンダードッグ』(2020年)のときも撮影は淡々と終わりました。

――ここ数年、身体的な接触のあるシーンの撮影環境は大幅に改善されています。演じてきた立場から、なにか要望することはありますか?

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瀧内 私は改善される前の現場しか参加したことがないんです。だから現在の状況を把握していないので、一概には言えませんけど、とてもいい傾向ですよね。女性が不安なく、そういうシーンに臨めるのであれば、やはりよかったなと。

 その一方で、男性がどう感じているのかが気になります。男性だって不安でしょうから、女性に対して真摯に対応してくださるのと同じように、男性にも適切に対応していただきたいですよね。いままでの反動もあって、女性の意見が強い時代じゃないですか。そのなかで男性の問題がなおざりにされている気もするので、その状況に対しては少し違和感を覚えるところもあります。

 

インディーズの新しい監督を求めて出会った『由宇子の天秤』

――2021年の主演作『由宇子の天秤』は、自分の足でミニシアターなどを回って、一緒に仕事をしたいと思う監督を探した作品ですよね。

瀧内 たぶん『火口のふたり』がすでに決まっていた時期で、次は濡れ場から脱却したいと思っていたんです。私たち俳優がお仕事をいただくときは、あるジャンルに長けていると思われて、そのオファーをいただくことが多い。だとしたら、将来オファーをいただくために幅を広げなければと思ったんですね。

 私の場合、廣木隆一監督や荒井晴彦監督といった映画界の大御所の方とご一緒する機会が多かったので、インディーズの新しい監督ともお仕事をしたいと考えていました。どんな監督がいるだろうと思って、ぴあフィルムフェスティバル、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭、東京フィルメックス……いろいろなところに行きましたね。そこで春本雄二郎監督の作品を観て、直観がはたらいてお声がけしたんです。機会があれば、ぜひご一緒させてくださいって。

――その時期は『彼女の人生は間違いじゃない』のDVDを名刺代わりにして、いろいろな人に挨拶していたそうですね。

瀧内 ちょうどフリーだった時期で、徐々に解放的になってきたころです。DVDを持ち歩きながら、ロビー活動をしていました(笑)。

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