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社長は必死で“インサイダー疑惑”を否定

「対応がお粗末という他ありません。事実確認と原因究明という課題に固執しすぎて公表の時期を完全に見誤った。最悪の事態を想定して柔軟に対応していれば、ここまで被害は拡大しなかったでしょう」

 その後、厚労省の調査で問題のあった製品のロットからプベルル酸が検出されたことが確認された。

「青カビから発生することのあるプベルル酸は、今のところ人体にどのような影響があるのか分かっておらず、紅麹問題の核心はまだ闇の中です」(前出・社会部記者)

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 3月30日には厚生労働省と大阪市が食品衛生法に基づき同社の大阪工場に、翌日には厚労省と和歌山県が、和歌山工場にそれぞれ立ち入り検査をした。

小林章浩社長 ©時事通信

 その最中、別の疑惑も浮上した。記者会見で質問が出て、小林章浩社長(52)が必死で否定したインサイダー疑惑である。

社内協議の翌日から株価が急落

 株価が怪しげな動きを見せたのは2月6日。前述したように、この日は小林製薬が社内協議を開始した翌日。章浩社長の耳に事案が報告された日でもあった。

「東証プライム上場の同社株は、6500円を超える金額で推移していましたが、6日から急に下落を始め、6日連続で大きく下がり15日には6020円まで急落したのです」(同前)

記者会見には章浩社長(中央)が出席 ©時事通信

 これを受けて会見では、「インサイダー取引の可能性は?」と追及されたのだ。だが、経済評論家の佐藤治彦氏はこう分析する。

「確かに不思議な動きにも見えますが、この程度の下げ幅であれば、インサイダーとは言い切れない。小林製薬は前期、有価証券の売却などでかろうじて増益を確保していますが、原材料や人件費の値上がりの影響を受けて、営業利益は前期比3パーセント減。同月9日にあったこの決算発表に株式市場が反応し、株価が下落した可能性が高い」

 株価は問題を受けて下落したとはいえ、売上高1700億円(昨年)の企業を作り上げたのが小林一雅氏だ。