大手製薬会社幹部は、小林製薬を「広告宣伝が巧いだけ」と...

「資金力が増した2000年代以降は、積極的にM&Aを仕掛ける企業になった。笹岡薬品の『命の母』、桐灰化学の『桐灰カイロ』など長年の販売実績がある商品を、M&Aで自社ブランド化していった」(前出・経済誌記者)

厚労省による工場の調査 ©時事通信

 ライバルの大手製薬会社幹部は同社をこう評する。

「会社の名前は“製薬”と謳い業種は医薬品に分類されています。しかし処方箋が必要な薬は作っていない。主力は市販薬と生活雑貨で、ゼロから新しい薬を作る能力はなく、広告宣伝が巧いだけの会社です。例えば内臓脂肪を燃やすことを売りにしている『ナイシトール』は、防風通聖散という昔からの漢方薬に新しい名前を付けて売っているだけ」

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一族が持つ株は約1600億円、毎年25億円の配当金

 現在の従業員数はグループ全体で3500人を超えている。前出の経済誌記者が語る。

「04年に弟の豊氏(故人)に社長を譲り、その後13年に長男、章浩氏が社長に。しかし76年から、48年間代表権は手放さず、代表取締役会長として君臨し続けているのが一雅氏なのです」

渦中に開かれた株主総会 ©時事通信

 小林製薬は、00年8月に東証一部(現・プライム)に上場。昨年末の有価証券報告書によると33%(2476万株)を一族が保有しており、筆頭株主は章浩氏で12%、第3位に一雅氏が代表を務める小林財団が入っている。一族の持つ株の時価総額は、紅麹問題が社内で議論された2月5日の時点で、約1600億円ほど。昨年の年間配当金は101円のため、一族で約25億円を手にしていることになる。

「さらに同社は高額な役員報酬で知られ、一雅氏は1年間で3億2300万円、章浩氏は1億100万円を得ている」(同前)

 “華麗なる一族”は不動産も多数所有している。中でも、一雅氏は「消臭元」ブランドが芳香剤で初めて年間売上100億円を突破した04年、兵庫県芦屋市の超高級住宅街・六麓荘(ろくろくそう)の850坪の土地に豪邸を建設した。地元不動産業者によると「人気のエリアで、外国人の購入も増えている。坪単価は200万円することもあり、土地だけで17億円は下らない」という。

 一雅氏と息子の章浩氏は確認できただけで都内や関西近郊に計6つの高級マンションも所有している。

「いずれも一等地にありますが、一雅会長名義の都内の物件は、85平米で1億8000万円以上の値が付く」(小林製薬関係者)

 一雅氏は都心のマンションの他に、大阪市内のタワマンを2部屋所有しており、推定価格は2部屋合計で2億4000万円。

 一方の章浩氏は大阪市内にタワマン一室(105平米)を所有しており、こちらの推定価格は1億円。また、神戸市内のタワマンは、2部屋所有し合計で2億円ほどの価格とみられている。

 不動産以外にも一雅氏は、大きな買い物をしている。競馬ライターが話す。