感情爆発の理由は「裏切られた」
学校で暴力を振るうのは、普段はおとなしい子が少なくないらしい。先生(関西、40代女性)は言う。
「クラスで問題を起こす子って、何でもかんでも自分の思い通りにいくと考えていることが多いのです。そしてこういうタイプの子が年々増えてきています。周りが全部、自分にとって都合の良いことをしてくれるだろうという前提で生きている。
こういう子たちは、自分の思い通りにならないと、逆上します。現実を受け入れられないのです。だから、ちょっと想定外のことが起こると、相手をひどい言葉で非難したり、手を上げたりします」
先生が言うには、このタイプの子どもが増えている背景には、先述のような「親による過剰な甘やかし」が影響しているそうだ。親が成功体験だけを山ほど用意し、過大な言葉で賞賛していれば、子どもが尊大になるのはやむをえない。
彼らはあらゆることが思い通りになると思っている。だから、友達や先生が自分の期待に応えてくれればいいが、そうでなければ勝手に「裏切られた」と考える。そして頭に血を上らせ、一方的に怒りをぶつける。教室で起きている校内暴力は、子どもたちのそんな感情爆発の形なのだ。
前出のモップで先生を殴った子どもの例で考えてみよう。
あの子にしてみれば、カンチョーは先生への(下手な)愛情表現だった。カンチョーをすることで先生とじゃれ合いたかったのだ。
しかし、あまりにしつこいので、先生が払いのけようとしたところ、手が彼の目に当たった。
その瞬間、この子は期待を裏切られたと感じて逆上し、先生に殴りかかった。
こうして考えると、未熟な低学年の子ほど暴力行為が目立つことにも納得がいく。