ニュースで学校での「集団盗撮」の事件が報じられる度、怒りや苛立ち、モヤモヤした思いがこみ上げてくる。当事者にとってはもちろんのこと、親にとっても「盗撮被害」は、何年経っても決して風化することのない人生最悪の記憶だ。

 娘の理沙(仮名)が盗撮被害を受けたのは、2017年の8月だった。

 理沙は当時高校2年生の17歳で、男子バレーボール部のマネージャーをしていた。夏の大会で3年生が引退して最上級生になり、初めての合宿に張り切っていた。

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 合宿では朝7時に起きて昼を挟んで8時間ほど練習し、22時には寝るというバレーボール漬けの生活。しかし夕食を終えて女子マネージャーたちが入浴しているところを、当時1年生だったA男にスマホで側面から撮影されたという。

 合宿所は木造の古い建物で、風呂は男性用と女性用が壁で区切られているだけで上部がつながっており、長身男性が背伸びすれば壁の上からスマホを差し出すことができる構造だった。しかし、娘たちはそうした構造に全然気づいていなかったという。

写真はイメージです ©AFLO

「盗撮はバレー部ほぼ全員が知っている。証言をしてくれる部員もいる」

 入浴時間がバラバラなため盗撮が行われた時に現場にいた男子部員の人数は定かではないが、少なくとも複数名が写真を見て、盗撮があったこと自体は2名を除く男子部員全員が知っていたという。さらに、5人ほどのLINEグループでも写真が共有されていた……。

 盗撮被害が発覚したのは2年半後の2020年2月で、浪人中だった理沙は第1志望の国立大の前期試験直前。バレー部で1学年後輩のマネージャー・B子からのメールがきっかけだった。

 B子は合宿に参加していなかったが、同じバレー部の交際相手の男子から盗撮の話を聞いていたという。その時は黙っていたが、部活を引退して高校の卒業も間近になり、罪の意識に耐えられなかったという。

「盗撮画像は入手できていないが、盗撮があったことはバレー部ほぼ全員が知っている。証言をしてくれる部員もいる」