――生地はループウィラーと違って、ガシッとしています。

光木 こちらのスウェット生地も裏毛です。裏毛に使用している糸は、アメリカのニューメキシコ州で栽培されたオーガニックコットンから作られています。もともとハリコシのあるこの糸を高密度に編み上げることで、しっかりとした裏毛に仕上げています。起毛していない裏毛なので、一年を通して着やすいです。

結論:高級スウェットを買う価値はある?

――こういったブランドがどんな風にスウェットを作っているかを知れば、値段の違いを理解できます。

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光木 そうですね。ループウィラーもレミ レリーフも値段はそれなりにしますが、その分、コストがかかっていますし、大量生産が難しいですから。

――結論として、光木さんは、高級スウェットを買う価値があると思いますか?

光木 ブランドによっては買う価値はあると思います。ただ、スウェットに関しては、高い、安い、はそれほど問題じゃないと思うんですよね。

 昔、あるスウェット工場を取材したとき、ベテランの職人さんに、その工場で作っている高級スウェットと、数千円で買えるスウェットとの違いを尋ねたことがあるんです。

 すると、「そんなの誰もわかんないだろ」って(笑)。ただ、その職人さんはしばらく考えた後、「……ただ、何にも知らない小さい子供が両方を着たら、ウチのやつのほうが“気持ちいい”って言うと思う」と。

 スウェットってそんな感じでいいと思うんです。もともと肩肘張って着る服ではないですから。僕自身、高いものを着たい日もあれば、肌触りがガサッとした大量生産された安いものを着たくなる日もあります。

 朝、クロゼットの前に立ってスウェットを選ぶとき、頭に浮かぶのは、値段やブランドじゃありません。大切なのは、肌触りや雰囲気、背景にあるカルチャーがその日の気分にハマるかどうか。それが僕にとって最高のスウェットなんです。

みつき・たくや/『Begin』クリエイティブディレクター 1977年生まれ。ワールドフォトプレスを経て2006年に世界文化社(現・世界文化ホールディングス)入社。2017年~2021年まで『Begin』編集長を務める。現在はメディアの枠を超えた新規事業開発に注力。制作チーム「ファンベースラボ」の指揮を執る。

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