日経平均株価は、過去最大の下げ幅を記録…。空前の株価下落にどよめく投資家たち。なぜ株価は急落したのか? それでも大きな損をせず、資産を保ち続ける方法とは? 投資歴36年、個人投資家ながら「3億円」もの資産を築き上げた、コンサルタントの日沖健氏が「暴落時の心構え」を解説する。

大暴落時に「億り人」は何をしているのか? ©getty

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 8月5日の東京市場で日経平均は、4451円安(△12.4%)という過去最大の下げ幅を記録しました。今回のような株式市場の暴落に対し、個人投資家はどう対処すればよいのでしょうか。投資歴36年の兼業個人投資家の筆者と一緒に考えてみましょう。

「3億円の億り人」になるまでにやったこと

 筆者は新入社員だった1988年に株式投資を始めました。これまでバブル崩壊・ITバブル崩壊・東日本大震災・コロナショックなど多くの暴落を経験し、生き延びて、現在、約3億円の資産を保有しています(借金0円)。

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 保有資産3億円というと「おっ、カリスマ投資家!」と思われるかもしれませんが、そうでもありません。いまだに勝ったり負けたりのシロウト投資家です。

 それにもかかわらず3億円の資産を築けたのは、必勝の投資法を編み出したわけでも、運よく一発当てたわけでもありません。「投資を早く始めて、致命的なミスを避けて相場に居続けた」からです。

 株式投資は、短期的にはゼロサムゲームですが、長期的にはプラスサムゲームです。企業が売上高・利益を増やして株価を上げようと懸命に努力するからです。個人投資家でも、銘柄選びで大きな間違いをせず、相場に居続ければ、長期的には資産を増やすことができます。

 ただ、この「相場に居続ける」というのは、容易なことではありません。今回のように、市場ではたまに予告なしに暴風が吹き荒れるからです。

 筆者が投資デビューした直後にバブルが崩壊し、最初に買った紙パルプ株が5分の1になりました。ITバブルの時にはIT株が、コロナショックでは飲食チェーン株が、半値になりました。若い頃は暴落のたびに「株なんて懲り懲り。もうやめよう…」と思いました。

 しかし、株が大好きだったこともあって、何とか粘って相場に居続けました。こうして、そんなに派手な勝利はありませんが、36年経ったら資産がかなり増えていました。