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太田 コムちゃんをはじめ、ある種の旧来型でない発想を持っている女性たちは、日本社会で男性と恋愛関係になったりすると、まずゼロからその人を教育しないといけない状況に立たされちゃうことが多いと思うんですよ。「え、なんで夫婦別姓とか必要なの?」とか「夫婦って、子どもの世話って、普通こうじゃない?」みたいな男性や相手の家族に対して、無理解にさらされながらも少しずつ知識を伝えていかないといけない状況に立たされることが多いと思うんです。

 僕の母親はフェミニストで、「お母さんたちは自分の人生を生きるべきです」ってことを提唱する活動もしていて。そんな母親から、いうなればフェミニスト的男子教育を受けているので、そういう状況が生じにくいかなとは思います。子供の頃は家庭教育と社会の価値観の間のギャップに苦しんだ時期もありましたけど、今は自分のバックグラウンドに本当に感謝してますね。

東京では、人が人にやさしくできる余裕がなくて、傷付いている

ーーいまはブラジルにお住まいですけど、日本での子育てをしてみて大変だと感じることはありましたか。

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コムアイ 児童手当とか医療費無料とか、お金のサポートは充実してきてるなと感じるけど、都心で暮らすと文化的にちょっとみたいなことはありますね。

太田 よく炎上するじゃないですか。「ベビーカーを押してたのに、エレベーターで誰も通してくれなかった」なんて投稿したら、逆に「調子に乗るな」とバッシングされたり。

コムアイ 「子持ち様」っていうのがトレンドに入ってて「怖っ」と思った。障がい者の人たちに対しても本当にひどい。

太田 「優先するな」っていうね。少子化で、子供の泣き声とか聞く機会もないし、子供がふざけるのを目にすることも少なくなって、子供に対して耐性のない社会だなというのは常々思います。

コムアイ 東京は、特にそれを感じる。人にやさしくできる余裕がなくて、傷付いているんだと。私もそういう時期あったし。

 

ーー子供も萎縮してしまいそうですよね。

太田 日本社会って、すごく強力だけど外の世界では通用しない倫理観がいっぱいあるじゃないですか。儀礼が細かくルール化されていて、圧もあるから、そこからはみ出すのが怖くなっちゃう。僕はそれが嫌で、自由に生きられる人間になりたいから、いろんな国に住んで、何言語も身につけて現地に溶け込みながら、いろんな倫理観を取り込んできたんです。

 アマゾンでは素っ裸の子供がギャーギャー走り回っていても「別にいいじゃん」って感じで。かといって、「表参道で立ちションしてもいいよ」と子供に言えるかと言ったらまた別の問題ですけど(笑)。僕らの子供は、どこの国に行っても特定の倫理観に押しつぶされないような力強さが備わってくれればなって。